まやはら・ひろし
医学博士。1999年神戸大学医学部卒業。2013年神戸低侵襲がん医療センター開院時より現職。日本医学放射線学会認定放射線科専門医
神戸低侵襲がん医療センターは、2013年の開院と同時に全国で初めてサイバーナイフVSIを導入した。同センターの歩みは、まさにサイバーナイフ治療と共にあったと言えるだろう。切らずに、痛みもまったくないというこの治療は、導入から8年が経った今どのように機能しているのか。放射線治療科の馬屋原博部長に詳しい話を伺った。
身体と生活への侵襲を抑えた
がん治療の象徴
ホワイトを基調とした光が差し込む明るい院内
 神戸低侵襲がん医療センターは「切らずに治す」ことを指針として掲げる、早期~進行がんの低侵襲治療に特化したがんセンターだ。ほとんどのがん・脳腫瘍が治療対象となる。
 低侵襲は、切らないことだけを指すのではない。「手術に伴う合併症や体力低下の回避、仕事や社会生活への影響回避、家族の介護負担の低減といった、心身や生活への負担の軽減が可能です」と馬屋原部長は言う。その象徴となるのが、サイバーナイフ治療だ。
 サイバーナイフは、ロボットアームを用いて50~200方向から高エネルギーX線を集束的に照射する定位放射線治療の専用装置だ。従来よりも1回の治療での放射線量を増やすことができるため、照射回数が減り、通院・入院による治療期間も短くなる。前立腺がんの治療を例にとると、従来は週5回連日で6〜8週間の照射が必要だったものが、2日に1回の隔日で5回、約10日間の照射で済むようになった。従来との副作用の差異もほとんどない。
 現在、脳・頭頚部腫瘍、肺がん、肝臓がん、前立腺がん、すい臓がん、転移性脊椎腫瘍、オリゴ転移(少数個の転移がん)に対するサイバーナイフ治療に健康保険が適用される。
短期滞在治療にも対応
安心して任せられる医療体制
 同センターでは、短期入院でのサイバーナイフ治療も可能だ。特に、新型コロナウイルス感染後の重症化リスクが高く、電車での移動が不安な高齢者にとっては心強い。「病状はもちろん、ご家庭の状況や心配される内容も人それぞれです。その上で、患者さま個々に合わせたベストと言える治療を提供していきたい」と馬屋原部長は語る。原則入院初日から治療を開始し、最終治療日の翌日に退院できる。
 2020年のサイバーナイフ治療の実績は、471部位、2327照射にのぼる。放射線治療専門医5名、放射線技師9名、医学物理士4名が一丸となって治療の安全性・確実性を支える。最新のサイバーナイフ用放射線治療計画装置へのアップデートにより照射時間が短くなり、国内最新の技術でサイバーナイフ治療が受けられる環境が整っている。
 「サイバーナイフには手術適応外の高齢者が受ける治療というイメージが未だ残っていますが、病状により手術に劣らない治療成績が期待できる治療です。若年者を含め、より多くの患者さまに選択肢の1つとして検討していただけるよう、これからも一人ひとりの患者さまにベストを尽くします」と、馬屋原部長は最後に優しく語ってくれた。

 
 
 
 
 

※内容は2021年7月28日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 神戸低侵襲がん医療センター
TEL 078-304-4100
住所 兵庫県神戸市中央区港島中町8-5-1
公式Webサイト(別ウインドウ)

 

受付時間
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