ひょうどう・あきお
2008年、獨協医科大学越谷病院(現、獨協医科大学埼玉医療センター)脳神経外科主任教授、獨協医科大学埼玉医療センター院長を経て特任教授兼血管内治療センター長。21年4月より現職
3路線が乗り入れ交通の便が良い新鎌ケ谷駅から徒歩3分にある鎌ケ谷総合病院。2021年4月に赴任したのが、日本脳神経血管内治療学会元理事長でもあり、日本の脳血管内治療を長年リードしてきた兵頭明夫医師だ。ハイブリッド手術室を新設する同院の脳血管疾患の充実と共に、後進の指導者としての役割も担う。兵頭医師に脳血管内治療に関する取り組みについてお話を伺った。
グループ全体の後輩医師の育成にも尽力
豊富な経験と確かな医療技術を駆使し脳血管内治療を行う
 長年、日本の脳血管内医療分野をリードする立場で活躍し、2021年4月より、脳血管内治療の更なる充実と併せ、徳洲会グループ71病院内で脳血管内治療に携わるすべての医師の指南役としての役割を担い同院に赴任したのが兵頭医師だ。
 「脳血管内治療には、予防と治療の2種類があります。治療は、まさに脳卒中を発症して救急で搬送されてくる患者さまに対して行う処置が代表的なもので、脳梗塞に対し、カテーテルを血管の閉塞部位まで誘導して血栓そのものを回収するといった治療が中心になります。しかし脳血管内治療においてメインとなるのは実は予防的治療で、動脈瘤の破裂防ぐ予防的治療などがその中心になります」と兵頭医師は脳血管内治療の役割を語る。
動脈瘤には予防的治療が必須
 脳の動脈瘤とは、脳の血管に発生する膨らみだ。風船が大きくなると割れやすくなるように、動脈瘤も成長するにつれて血管壁が薄くなり、破裂しやすくなる。動脈瘤が破裂したものがくも膜下出血であり、発症すれば1/3が命を落とし、生存できた場合でもその半数にマヒなど後遺症が残ってしまう。
 「動脈瘤に対する予防的治療としては、足の付け根から細いカテーテルを入れ、瘤の中にコイルを詰めることで瘤内に血液が流れ込むことを防ぐコイル塞栓術、そしてフローダイバーターステント治療と呼ばれる、コイル塞栓術に加えて、動脈瘤につながる正常血管の一部に特殊な網目構造のステントを留置する新しい治療法があります。これらの予防的治療は、未破裂動脈瘤に対してだけではなく、すでにくも膜下出血を起こした症例に対し、再発を防ぐためにも行われます」
 くも膜下出血の場合、1度破裂してそのまま予防的治療を施さないと、2週間後には約半数のケースで再出血を起こし、その場合死亡率も高まる。そのため、同院では脳血管内治療によるアプローチで、積極的に予防的治療を行なっていると兵頭医師は語る。
ハイブリッド手術室の新設で
安心、安全な先端医療を目指す
同院では、2021年7月末にハイブリッド手術室が新設される予定だ。
 「ハイブリッド手術室では、最新の医療機器が配置される予定です。従来と比較して鮮明で、さらにほとんど死角なく動脈の様子が3Dで写し出されるようになるため、現在よりさらに安全、安心な脳血管内治療が提供できるはずです。さらにこれまで治療不可能とされていた動脈瘤に対し、脳血管内治療の道を開いたフローダイバーターステント治療にも、新たなデバイスとしてサーパス​システムが登場し、私自身現在使い方に関する研修を重ねています。今後は当院でも新たな環境の元、こうした最新の脳血管内治療を実現できるように務めていきたいと考えています」と、兵頭医師は力強く、今後の抱負を語ってくれた。

 
 
 
 

※内容は2021年7月28日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 鎌ケ谷総合病院
TEL 047-498-8111
住所 千葉県鎌ケ谷市初富929-6
公式Webサイト(別ウインドウ)