ことうだ・あつし(写真右)
2000年、獨協医科大学付属病院循環器内科、第二外科、腎臓内科で研鑽を積む。自治医科大学付属病院などを経て、10年より聖医会、現職。
日本腎臓学会認定腎臓専門医
日本透析医学会認定透析専門医


すがせ・たろう(写真左)
2004年、三重大学を卒業後、三重県立志摩病院で初期研修。07年、自治医科大 学腎臓内科などを経て、20年より現職。
日本腎臓学会認定腎臓専門医
日本透析医学会認定透析専門医

腎臓病疾患を抱える患者にとって、透析医療はまさに命をつなぐ医療だ。その透析医療を栃木県において長い歴史を誇り、「栃木にはわたしたちがいる」というネーミングにてシャント治療と様々なモードの透析医療を提供しているのが「医療法人社団 聖医会」だ。今回は小藤田理事長とその右腕として活躍する菅生太朗医師にお話を伺った。
シャント関連治療は
断らない医療を実践
 安定した透析を日々行うためにはシャントが不可欠である。シャントとは動脈血管に静脈血管を縫合(縫い合わせる)することで静脈血管に200㎖以上の血流を作り上げる処置のことを言う。作製することはもとよりその修復にも高い技術を要する。その治療を日帰りにて行えるバスキュラーアクセスセンターを栃木県に初めて開設したのが医療法人社団 聖医会だ。現在はメディカルグループとして県南県北にふたつの施設を展開している。「私たちのグループクリニックではシャント関連治療を年間1860症例※行っています。透析患者さまにとってシャントは命綱です。シャントトラブルが起きると患者さまは透析を受けられなくなります。したがって私たちはシャント治療を 断らない 必ず対応する姿勢で日々医療を実践しています」と語るのは小藤田理事長だ。そして「日々、栃木県、近隣県から緊急のシャント関連治療の依頼がきます。多いときは1日で5件以上の緊急治療に対応します」と語るのが自治医科大学時代から右腕として共にシャント治療と戦ってきた菅生太朗医師だ。小藤田理事長と共にシャントに熱意を傾け、現在では内科医でありながら多くのシャント手術も手掛けるプロフェッショナルネフロジストだ。「栃木にはわたしたちがいる」その思いを胸に、小藤田理事長の元には現在、菅生医師以外にも多くの腎臓内科医師がシャント治療に参加している。
エコーを用いたシャントPTAで
低侵襲、より安全な治療を実践
コロナ禍でも安心。間隔をあけた広々とした清潔な透析室
 同グループクリニックでは多くのシャント修復治療をPTA(経費的血管拡張術)で治療を行う。PTAとは血管内に髪の毛ほどのワイヤーを通過させ病変である血管狭窄部位、あるいは閉塞部位を特殊なバルーンで拡張し修復する治療である。多くの施設では血管透視装置を使用するのに対し同クリニックでは超音波を使用し治療を行う。「超音波を使用することでレントゲンによる患者さま、医療従事者の被ばくをなくすことができます、超音波ではシャント内の血液の流れもリアルタイム見ることができ的確、短時間での治療が可能になります」と菅生医師が語る。実際、同グループクリニックでは多くのシャント治療を超音波下で行いその治療時間は30分以内、困難症例でも1時間を超えることは無い。治療部位には的確に麻酔を行い、治療に伴う痛みも可能な限り軽減させることを行う。「当院ではシャント手術も多く行いますが、手術だけではどうしても治療が完結しない患者さまがいます。そのような患者さまに対してPTAを組み合わせたハイブリットシャント治療を当院では行っています」と小藤田理事長が語る。同クリニックには近隣の大学病院、基幹病院からも患者紹介がある。血管が細い、あるいはシャントが作製できない患者さまの紹介だ。そのような患者さまに対しては新小山市民病院心臓血管外科佐藤医師と協力し、細い血管を手術でつなぎ、手術後にアシストPTAを行うことでシャントを作り上げる。「シャントが使えるまでに半年もかかる患者さまもいますが、我々に託されたのであればあきらめることなく最後まで責任もって治療します。 栃木には私たちがいる 我々は最後までシャント治療あきらめません」と小藤田理事長。
患者の生活の質を重視した
在宅血液透析医療を実践
ゆったりと座れるソファを設置した温かみのある綺麗な院内
 そして、同グループクリニックのもう一つの特徴が在宅血液透析を積極的に推奨している点だ。こちらは文字通り患者自身が自宅で血液透析を行うものである。在宅透析の最大のメリットは透析回数の制限が無いことで、通常の透析(週3回4時間)と比較にならないほどの透析医療を行うことができる。「現在10名の在宅患者さまがいます。患者さまの中には毎日(週7回)2時間から3時間ご自宅で透析を行う方もいます。食事制限はありませんし、お酒も飲むこともできます、遠方からでは福島県の会津市からの患者さまもいます。大雪が降る土地ですが、お家での透析で通院の心配も無く、喜ばれて透析医療をしています」と小藤田理事長は語る。
次世代の透析で生活の質を落とさない
透析医療を目指す
 透析医療の未来は、IoTの進化、デジタル情報医療の進化が進めば在宅血液透析は誰もが受ける医療になることは必然である、その時にまでには透析におけるシャントも過去のものとなり、進化したアクセスが開発されるだろう。同グループクリニックではその前進として長期留置カテーテルでの在宅透析も行っている。シャント治療で培ってき経験があるからこその試みである。
 「現在2名の患者さまは長期留置カテーテルで在宅透析をおこなっています。針を刺すことがないので毎日行うことも苦痛ではありません」
 2022年1月11日 同グループクリニックは、「せいいかいメディカルクリニック」として名称を変更し、さらなる飛躍を目指していく。小藤田先生、菅生先生の尽きない透析医療へのチャレンジはこれからも続き、多くの透析患者の福音となるに違いないであろう。

※2021年1月〜12月

 
 
 

※内容は2022年1月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 せいいかいメディカルクリニック
TEL 0285-44-8345
住所 栃木県下野市駅東5-13-16
公式Webサイト(別ウインドウ)

 

診療時間
9:00〜12:00
15:00〜17:00

【休診日】日、祝