にった・としかつ
1999年、大阪医科薬科大学医学部卒業。大阪医科薬科大学非常勤講師、
大阪医科大学附属病院を経て2009年より現職。
日本消化器外科学会認定消化器外科専門医、日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医、日本内視鏡外科学会評議員、大腸肛門病学会評議員、日本消化管学会代議員、日本胆道学会評議員、日本肝胆膵外科学会評議員、日本ヘルニア学会評議員
がん診療拠点病院として専門的な治療を行っている城山病院。より高度な治療を提供するべく、南河内医療圏で初めて消化器外科領域におけるダヴィンチ手術を開始した。手術の特徴や独自の運用方法について、ロボット手術センターの新田敏勝センター長に詳しく話を伺った。
従来の手術と組み合わせ
ダヴィンチ手術を幅広く適用
ロボット支援下手術「ダヴィンチ」にて
身体的負担の少ない高度医療を実施

鉗子と3D内視鏡を操作する装置。
繊細な手術を可能に
 大学病院に匹敵する高度医療の提供を目指す城山病院では、2023年1月に手術支援ロボット「ダヴィンチ」の運用を開始した。直腸がん、結腸がん、前立腺がん、鼠径ヘルニアを主な対象とし、6月までに53症例の実績をあげている。ダヴィンチ手術には、傷口が小さく身体への負担が少ないため、早期に社会復帰が出来るというメリットがある。
 「出血の少なさも注目すべきポイントです。私たちの身体は、出血した分を輸血すれば元通りという、簡単な作りではありません。ダヴィンチ手術であれば輸血はほぼ不要となるため、体力が落ちにくく、回復も早い。抗がん剤治療等の追加治療にも速やかに移行できます」と新田センター長は消化器外科手術の豊富な経験から、手術後の治療を見据えて、患者の身体への負担を出来る限り軽減できるよう注力しているという。
 ダヴィンチ手術は、開腹手術や従来の腹腔鏡下手術よりも低侵襲であるため、年齢に関係なく幅広く適応することができる。そのため高齢者の術後の肺炎のリスクも抑えられるのも利点の一つだ。
 入院期間の目安はがんの場合で約10日、鼠径ヘルニアの場合で3泊4日だが、同院では、88歳の患者がダヴィンチによる手術を受け、早期退院を果たした例もあるという。
 新田センター長は言う。「一般に、以前に受けた手術の影響などによって強い癒着がある場合、ダヴィンチ手術は難しくなります。多重がんの場合も同様ですが、従来の開腹手術や腹腔鏡下手術と組み合わせることで、できる限り低侵襲なダヴィンチ手術を適応できるよう取り組んでいます。医師側の手間が増えることより、患者さまの身体への負担を減らすことが第一です」
 〝良い治療〟だと確信があるからこそ、その提供に要する手間は惜しまない。また通常、ダヴィンチ手術の途中で患者の体位変換が必要になることがある。その場合、鉗子を抜き、体位を変え、再度鉗子をセットするために30分ほどのロスタイムが生じるが、同院ではダヴィンチ本体とBluetoothを連動させて体位変換できる最新の手術台を導入し、このロスタイムも解消しているという。
鼠径ヘルニアに対し
海外で主流のTEP法を採用
高精度な医療機器を導入し
万全の体制で行える環境を構築した手術室
 同院では以前より、鼠径ヘルニア修復術に力を入れてきた。
 「鼠径ヘルニアの手術は、良性疾患だからといって軽んじるのではなく、合併症・再発のリスクを抑えた正確な診断・手術を心がけています。そのため、鉗子を角度の制限なく繊細に動かせるダヴィンチを導入し、治療の選択肢の1つとして提示できる意味は大きいのです」と語る新田センター長は、長年培ってきた手術実績から、海外では第一選択であるTEP法を得意としている。TAPP法と比べて高度な技術が求められるが、両側性の場合でも1つの孔から同時に治療ができ、創痕も臍の中に隠れて目立たず、術後の痛みが少ない。そのため社会復帰が早く、腔内合併症のリスクが極めて少ないという利点もある。
 「全身麻酔ができない、ヘルニアが大きい・再発したといった場合には、切開法や腹腔鏡下手術による対応も可能です。患者さまの容態に合わせて臨機応変に、より適切な治療を行い、手術後は速やかにリハビリできる体制も整えています」と新田センター長は語る。
安心して治療が受けられるよう
細やかな医療体制を整備
 同院では、医療費控除や高額療養費制度を利用できる場合、金額シミュレーションを行うなど、保険適用外となる鼠径ヘルニアに対するダヴィンチ手術の負担費用が心配な場合も相談することが可能だ。また、患者が安心して治療を受けられるよう、入院中には手術前後の食事や入浴、リハビリなど、退院までのスケジュールが記載されたクリニカルパスを用意するなどきめ細やかな医療体制を整えているという。
 「私が真に願うのは、患者さまがより良い医療と巡り会うこと。私たちにできるのは、その時に備えて、準備を怠らないことです。お困りの方は、いつでもご相談ください」
 胃がん、肝臓がん、すい臓がんについても、今後ダヴィンチ手術が受けられるよう適応拡大を図るという、同院の進化と新田センター長の活躍に注目したい。

 

自由診療:ダヴィンチ手術による鼠径ヘルニア修復術 約36万円

 
 
 

※内容は2023年8月8日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 城山病院
TEL 072-958-1000
住所 大阪府羽曳野市はびきの2-8-1
公式Webサイト

 

診療時間
8:30〜12:00
12:50〜15:30


【休診日】土、日、祝、年末年始(12/30〜1/3)