「良医の視点」を皆さまの熱いご要望によりweb公開決定!(2017.4月〜現在まで・公開中)週刊新潮にて掲載

めぐろ・やすひこ
2004年、岩手医科大学卒業。06年、東北大学医学部眼科学教室に入局。07年、国立病院機構仙台医療センター。09年、東北大学病院。11年、公立刈田綜合病院。13年、大崎市民病院。16年、JCHO仙台病院。18年、JCHO仙台病院眼科医長。東北大学病院涙道外来主任。日本眼科学会認定眼科専門医
より低侵襲でより最大限の効果を引き出せる治療法の選択肢を用意し
涙道内視鏡と涙嚢鼻腔吻合術との両輪の治療で成果を上げる
涙道内視鏡のチューブ挿入術は日帰りで行える低侵襲治療
涙道内視鏡で涙道内を視認しながら閉塞部を穿破し、チューブを留置する。目黒医長は宮城県ではじめて涙道内視鏡を本格導入した
 「宮城県で涙道内視鏡が本格導入されたのは、私が東北大学病院に涙道外来を創設した2013年ですから、全国的にはやや遅れをとった形です。これは東北人の気質にも関係しているかもしれません。東北の方たちは我慢強く、涙道が閉塞し、涙目や目やにがでていても数年は我慢していることが少なくなく、治療をすすめられても、たかが涙目だからとしり込みしてしまう方も数多くいらっしゃいます」とJCHO仙台病院の目黒泰彦眼科医長は話す。
 同院で行っている涙道内視鏡のチューブ挿入術は、眼瞼(がんけん)への局所麻酔注射により手術時間は片目15分程度で済み、日帰りで行える低侵襲治療となっている。
 涙道内視鏡治療でチューブを挿入する場合、涙点から挿入したチューブを、最後に鼻内から引き込む方法が一般的だが、「それですと鼻内の麻酔や鼻内視鏡の操作が必要になります。鼻の中の痛みや鼻血の危険を伴うので、当院では涙点からの操作のみでチューブを鼻内へ送り込む手技を採用しています」と目黒医長。留置したチューブは、2カ月前後で涙点側から抜いている。
涙道の疾患は早期治療が大事であきらめないで治療を心がけよう
涙嚢鼻腔吻合術では、院内耳鼻咽喉科と力を合わせて高度治療に臨む
 ただ、内視鏡は100%完全な治療ではなく、鼻涙管の閉塞については再発することもある。「特に罹患(りかん)期間が数年単位と長いもの、涙嚢(るいのう)炎といって管腔内に慢性感染症を起こしているものなどは再発率が高まります。このため、涙道内視鏡と涙嚢鼻腔吻合(ふんごう)術(DCR)との両輪で治療を行っています」
 同院の涙嚢鼻腔吻合術では、目頭の皮膚を切開する鼻外法ではなく、鼻内視鏡を用いて鼻の中から行う鼻内法を第一選択としている。
 「鼻内法は、皮膚を切らないで済むため、整容面で優れています。鼻内手術は耳鼻科医の指導・協力が欠かせません。当院の場合、院内耳鼻咽喉科と綿密な連携により涙道診療にあたっています」と目黒医長。JCHO仙台病院では、術前の診察、画像診断、術前カンファレンスをはじめ、手術も眼科と耳鼻咽喉科の合同で行い、両科の高度なテクニックと豊富な知識を結集して全国的にも遜色(そんしょく)のない良好な成績を収めている。
 涙道の狭窄や閉塞については早期治療が大事であるという。「今まで涙目に治療方法がないとあきらめていた患者さんが数多くいます。時間がたてばたつほど重症化して、内視鏡では治療が難しく鼻腔吻合術になることもあります。症例に応じて、より低侵襲でより最大限の効果を引き出せる治療法の選択肢を幅広くご用意しています。少しでも早く来院していただき、内視鏡で治る患者さんを増やしたいと思っています」と目黒医長は涙道内視鏡にかける意気込みを語った。

※内容は2018年5月31日時点のものです。詳しくは医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 JCHO 仙台病院
フリガナ ジェイコーセンダイビョウイン
TEL 022-275-3111
住所 宮城県仙台市青葉区堤町3-16-1
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8:00〜10:30(眼科外来) 手術