のだ・しんえい
2002年 群馬大学医学部医学科卒業
05年 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 医師
07年 ハーバード大学/マサチューセッツ総合病院 博士研究員
09年 オハイオ州立大学がんセンター 博士研究員
13年 群馬大学大学院医学系研究科 講師
17年 埼玉医科大学国際医療センター 教授
日本放射線腫瘍学会高精度放射線外部照射部会幹事
日本放射線腫瘍学会代議員
日本医学放射線学会認定放射線科専門医
がん・心臓病・脳卒中に特化した高度専門医療機関として、2007年に開院した埼玉医科大学国際医療センター。身体への負担を抑えた高度な定位放射線治療を追求し、様々な取組みを導入するなど、患者と共にがんの根治を目指す放射線腫瘍科の野田真永教授に、最新のMRIリニアック治療について詳しく話を伺った。
負担を減らすがん治療へ
最新の放射線治療を、強いチームで
高度なMRIリニアック治療で、
腫瘍の動きをリアルタイムに確認しながら、
身体への負担を抑えた定位放射線治療を行う
 がん・心臓病・脳卒中に特化した高度専門医療を提供している埼玉医科大学国際医療センター。三本柱のひとつである「がん医療」の現場には高齢の患者も多く、できるだけ身体に負担の少ない治療が強く求められている。同院では近年、放射線治療患者の受け入れ体制を強化してきた。2022年7月には、放射線治療と化学療法を行う専用の治療棟を開設。日本でも導入施設の少ない最新のMRIリニアック治療をスタートさせた。
 「より良い治療を行うにはチームの力が不可欠です。放射線治療医、医学物理士、診療放射線技師、看護師、薬剤師、他科の医師が連携し、手術や薬物療法との組み合わせも含めて、患者さんごとに、より適した方針を検討します。当院には各職種に経験豊富なスタッフが揃っている点も強みです」そう語るのは、放射線腫瘍科の野田真永教授。同院では、全身のさまざまながんに対応できるリニアック治療やサイバーナイフ治療など、患者の身体的・精神的な負担を抑える放射線治療を追求してきた。中でも注目しているのが、より低侵襲で高度な治療が期待されるMRIリニアック治療だ。
リアルタイムにがんを可視化
動くがんに自動調節照射
MRIリニアック治療
画像を示しながら病状を丁寧に説明し、患者と一緒に適した治療法を選択していく野田真永教授

高級感あふれる洗練された開放的な院内
 放射線治療では、事前の画像検査をもとに照射計画を立てる。ところが治療時には、体内のがんが計画どおりの位置にあるかを外から確認しづらい。特に胸部や腹部の臓器は呼吸に伴って動くため、従来はより慎重な対応が必要だった。
 「従来の装置では、常に動くがんを確実に照射できるよう、がんの周囲まで広めに照射せざるを得ないことがありました。その分、正常な組織にも放射線が当たってしまうジレンマがあったのです」野田教授はそう振り返る。MRIリニアック治療は、この課題の解決を後押ししている。放射線治療装置に高精度MRIを一体化し、体内のがんや周囲の組織の位置をリアルタイムで確認しながら照射できる点が大きな特長だ。
 「さらに当院の機種には、がんが設定した範囲にある時だけ照射する自動制御が搭載されています。がんが予想外に動いた場合にも対応でき、正常な組織への影響を抑えやすくなります」治療中は、がんの位置をスタッフ室の画面で連続的に確認できる。同院では患者にも同じ映像を共有できる設計とし、患者自身に呼吸を調整していただきながら、照射の精度を一緒に高めていける。
 「患者さんと医療スタッフが同じ映像を共有し、ひとつのチームとして治療に向き合える点に、MRIリニアック治療の可能性を感じています」高齢の患者でも治療を完遂できた例があるという。MRIリニアック治療により、治療の選択肢や通院スタイルにも変化が生まれつつある。従来、肝臓がんや膵臓がんでは、周囲の胃や十二指腸などの正常な組織を守るため照射量に上限があり、さらに治療回数を小分けに増やして慎重に行う必要があった。その結果、十分な効果を得にくいことが課題となる場合もあったという。
 「しかし外来通院でのMRIリニアック治療により、治療回数の負担を軽減しながら、腫瘍の縮小や消失を目指せる可能性が広がっています。従来25回程度かかっていた肝臓がんや膵臓がんの治療でも、それぞれ3回や5回といった少ない回数で行える場合も出てきました」と野田教授は語る。また前立腺がんにおける2回照射コースの導入は、患者の通院負担の軽減にもつながっているという。
一人でも多くの命を救うために
選べる時代のがん治療へ
 「がん治療は、今もなお『まずは手術』というイメージが根強いのが現状です。しかしMRIリニアック治療を知った当院の外科医の間では、放射線治療を優先して検討する症例が増えてきました」と野田教授。一方で、こうした最新の放射線治療の存在自体が、医療従事者や患者に十分知られていないのも事実だという。
 「一人でも多くの命を救うため、MRIリニアック治療が肝臓がんや膵臓がんなどの有力な選択肢の一つとして、将来的に各地域で当たり前のように提供されることを目指します。そのためにも医療者への情報発信と後進の育成に、これまで以上に力を注いでいきたいと考えています」最後に、治療を迷う患者やご家族へ、野田教授はこう呼びかける。
 「医療技術は日々進歩しています。たとえ再発した場合でも、がんが少数であれば定位放射線治療によって制御や根治を目指せる可能性が出てきています。手術や抗がん剤治療が難しいと言われた方でも、MRIリニアック治療などの定位放射線治療を受けている方もいます。高齢やがん治療歴があるというだけで諦めず、ぜひ一度ご相談ください」

 
 
 

※内容は2026年1月28日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 埼玉医科大学国際医療センター
TEL 042-984-4111
住所 埼玉県日高市山根1397-1
公式Webサイト

 

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