はらぐち・しゅうじ
医学博士。1985年、日本医科大学卒業。2006年、日本医科大学外科学第二准教授。08年、日本医科大学付属病院外科学第二准教授。12年、日本医科大学付属病院呼吸器外科部長。13年、一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院。16年、同院長。日本外科学会認定外科専門医、日本呼吸器外科学会認定呼吸器外科専門医、日本臨床外科学会評議員、日本呼吸器外科学会評議員、小切開・鏡視外科学会評議員
対面式胸腔鏡下手術により再発率の少ない安全な気胸治療を行い
病気を抱えている患者さんと家族に寄り添い、サポートする
がん診療連携拠点病院として地域密着の高度医療を提供
気胸の対面式胸腔鏡下手術で実績を上げる。「この患者さんはどこから空気がもれているか、しっかり観察しながら手術を行います」と原口院長
 坪井病院は、地域がん診療連携拠点病院で、福島県内で初めて認可を受けたホスピスも有するなど、地域に密着した高度医療を提供している。
 同院呼吸器外科では、悪性腫瘍の患者さんが約7割を占め、そのうち約9割が肺がん疾患であるという。「がん患者さんの場合、不安を抱えて病院を訪れるため、十分な情報提供を心がけています。手術についても懇切丁寧に説明し、病気を抱えている患者さんと家族に寄り添い、サポートして、安心して治療に立ち向かえるよう心がけています」と原口秀司院長はいう。
気胸の胸腔鏡下手術では的確な観察と切除が大事
 原口院長は、肺がんをはじめとする胸腔鏡下手術のエキスパートドクターだが、「医学博士号は気胸をテーマに取得しました。気胸は、胸膜直下に炎症が起こり、弾性線維が障害されて肺嚢胞(はいのうほう)を形成し、弱くなった壁が壊れて空気がもれます。私は肺嚢胞の組織を調べ、世界初の発表を行い、その論文が歴史と伝統のある『The New England Journal of Medicine』に引用されました」と気胸治療のプロフェッショナルとしての自信をのぞかせる。
 気胸の胸腔鏡下手術については、1つの画面を全員で見るのではなく、対面式といって、2つのハイビジョン画面を用意し、術者と助手がそれぞれ真正面の画面を見ながら手術を行う。これにより、術野が360度見渡せ、確認しながらより安全な手術を実現することができる。
 「胸腔鏡下手術を行う場合、観察が大事です。肺嚢胞の見落としがないよう気を配りながら手術を進めます。肺と心臓が密着しているところは、肺を持ち上げて確認します。肺の横隔膜に面したところに隠れていることもあるため、見落としゼロを徹底して追求します。肺嚢胞の切除方法にも習熟度を要します。嚢胞壁をぎりぎりのところで切ったりすると異常弾性線維を取り残し、再発の原因となるため、全て切除しきれるかどうかが問われます」
 同院では、気胸治療にあたり、肺嚢胞切離部にPGAシートをあてるなどの付加処置を施し、また、化学的胸膜癒着(ゆちゃく)術を行うなどして再発予防に努め、5年間での再発率2・5%の実績を上げている。「再発率が何%と、すぐに答えられる病院や医師でないと駄目です。気胸は外科の中では簡単な手術と考えられていますが、どうして肺嚢胞ができるかなどの背景を理解した上で、知識と技術がないと手術はできません。患者さんには情報を惜しみなく提供し、これからも手術に全力投球していきます」と原口院長は気胸治療に向けての決意と抱負を語った。

 

※内容は2018年4月27日時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 坪井病院
フリガナ ツボイビョウイン
診療科目 内科、外科、消化器内科、消化器外科、大腸・肛門外科、呼吸器内科、呼吸器外科、乳腺外科、婦人科、放射線科、麻酔科(山﨑実)、病理診断科、緩和ケア内科
TEL 024-946-0808
住所 福島県郡山市安積町長久保1-10-13
病床数 230床
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