なりさだ・ひろゆき
1992年、産業医科大学卒業。2003年共愛会戸畑診療所のち戸畑共立病院がん治療センター。18年より現職。日本医学放射線学会認定放射線科専門医、日本ハイパーサーミア学会代議員
自ら名付けた
「がん集学的治療センター」という名称
 福岡徳洲会病院の「がん集学的治療センター」という名称は、成定センター長自らが付けたものだ。
 「通常、ステージ4のがんや再発がんの場合、治療の選択肢が限られ、時にはいきなり緩和ケアを勧められる場合も少なくないのが現実です。私たちのセンターでは、抗がん剤や放射線治療にハイパーサーミア(電磁波温熱療法)や高気圧酸素治療を組み合わせる併用治療で、こうした状態のがんであっても懐が深い治療を実践しています」と成定センター長。
患者にとってメリットの多い
ハイパーサーミアによる治療
 人間の細胞は42・5度を超えると急速に死滅する性質を有している。健康な組織には温度調節機能があるが、悪性腫瘍は温度調節ができないため、熱を加えると容易に温度が上昇する。ハイパーサーミアはこの仕組みを利用したもので、腫瘍に対してラジオ波を加えて加熱し、死滅させることを目的とした治療法だ。脳と眼球のがんには適用できないが、1990年には放射線療法との併用で、1996年に単独で保険適用となっている。
 「ハイパーサーミアのメリットはいくつかあります。正常細胞を傷つけず、悪性腫瘍だけを攻撃できること、抗がん剤の増感作用が比較的容易に得られること、副作用がほとんどないこと、そして1度効果のなくなった抗がん剤もこの治療との併用で再び効果が得られる場合が多々あるという点などです」と成定センター長は語る。
 福岡徳洲会病院では、ハイパーサーミア・サーモトロン─RF8を使用し治療を行なっているが、その間、患者は40~50分程度横になっているだけ。加熱による発汗はあるが、会話なども普通にできる。
 一方、高気圧酸素療法は、体内の酸素濃度を高めることで抗がん剤や放射線治療の効果を高めることを目的とした治療法で、こちらも保険適用診療となっている。
がんと上手に共存しながら
質の高い日常生活維持を目指す
 ハイパーサーミアについて、2018年国際的に権威ある医学誌JAMAに悪性軟部腫瘍での高い併用効果に関しての論文が掲載されたことで、現在日本でもこの治療法に注目が集まり、導入する医療機関が広がっている。それだけに豊富な知識と高い技術力のある医師や技師が揃っている医療機関を選択することの必要性を、成定センター長は強調する。福岡徳洲会病院では治療実績が多い月で80件を超えるなど、開設から1年を迎え、650件を超え※順調に治療実績を伸ばしている。
 成定センター長は「私の目標は、高血圧症や糖尿病のように腫瘍をうまくコントロールして、1人でも多くの患者さんががんと共存しながらも質の高い日常生活を維持できるように継続することです」と最後に力強く語ってくれた。

※2018年4月~2019年3月

 

※内容は2019年4月23日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 福岡徳洲会病院
フリガナ フクオカトクシュウカイビョウイン
TEL 092-573-6622
住所 福岡県春日市須玖北4-5
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診療時間 【化学・温熱療法 診療時間】月・水・金9:00〜12:00(完全予約制)