さが・としふみ
2009年、杏林大学医学部医学科卒業。11年、北海道立函館病院心臓血管外科。15年、帝京大学医学部付属病院。17年、新東京病院。18年より同病院に勤務し11月より現職。
日本外科学会認定外科専門医
大動脈瘤に対する低侵襲な手術法、
大動脈瘤ステントグラフト内挿術

 
 新久喜総合病院は2017年に新規開院、白を基調とした院内は、清潔で患者が落ち着ける雰囲気だ。ハイブリッド手術室などの最新医療機器を完備しており、急性期治療から早期リハビリ、在宅医療までをチーム医療により一貫して提供し地域医療を支えている。21年には新棟がオープン予定、さらに充実した医療設備を完備するという。
 24時間365日断らない病院として、日々治療の最前線に立っているのが、同院の心臓血管外科部長佐賀俊文医師だ。「当院で大動脈瘤ステントグラフト内挿術に取り組み始めたのは、私が着任した2018年5月からで、現在は腹部、胸部両方の大動脈瘤に対応しています」と佐賀医師。
 大動脈瘤とは、大動脈の壁の一部が瘤のように膨らみ、その瘤が破裂すると致死率が非常に高い厄介な疾患だ。そのため動脈瘤が発見された場合は胸部で50㎜、腹部で45㎜を目安に開胸、開腹して動脈瘤を切開し、人工血管に取り換える予防的手術が行われている。
 ところがこの手術は切開の大きさが20㎝程度と非常に侵襲が大きかったため、より低侵襲な術式として登場したのが大動脈瘤ステントグラフト内挿術だ。
 「人工血管に針金状の金属を編んで金網状になったステントと呼ばれるバネ状の金属を取り付けたものをカテーテルの中に圧縮して格納し、鼠径部(脚の付け根)を4㎝ほど切開して動脈内に挿入し、瘤に流れ込む血流を塞ぐ形でステントを放出して留置します。すると血流は人工血管に流れるために動脈瘤の瘤壁には血圧がかからなくなり、破裂を予防できます。これが大動脈瘤ステントグラフト内挿術の仕組みです」と佐賀医師は語る。
大動脈解離の亜急性期の治療にも
大動脈瘤ステントグラフト内挿術を適用
 非常に低侵襲で患者負担が少ない術式だが、同院ではより低侵襲な手術を目指し、胸部動脈に挿入するカテーテルの太さ18~22フレンチ(6〜7・3㎜)と同手術で使われるカテーテルの中でも一番細いものを使用している。
 「大動脈瘤ステントグラフト内挿術の場合、入院期間は短ければ1週間、長くても10日程度です。手術の翌日の朝食から食事が摂れ、自力歩行が可能なのでリハビリも始められます」
 さらに同院では、大動脈解離の亜急性期(発症2週間~2、3カ月の期間)の治療に対しても、積極的にステントグラフト内挿術を適用し、外膜の破裂を予防する処置を行っているという。この治療によって、5年先、10年先の生活や病気に対する不安、生命予後が大きく変わる。
 「特に緊急手術では、術中に急遽開胸手術に切り替える場合があります。病院、医師によっては開胸手術あるいはステントグラフト内挿術のいずれかに偏りがある場合があります。患者さんが一人ひとりにベストな治療法を適応される為にも、両方の術式に経験が豊富な医師に相談できることが重要です」と、佐賀医師は病院選びのポイントについて指摘する。
動脈瘤が見つかったら早めに治療を
 大動脈瘤は内服での治療方法はなく、動脈硬化の進行とともに拡大する。自然経過で縮小することは無いため、治療適応と告げられたら迷わず治療を受ける覚悟が必要だ。
 「大動脈瘤は破裂するまで自覚症状がない疾患ですが、それでもまれに急に便秘気味になる、声が枯れるといった症状が出る場合があります。通常は健康診断のCTやエコー検査で偶然見つかることがほとんどですが、気になる症状があれば積極的に受診してほしいですね」と最後に佐賀医師は、検査の重要性、早期治療の大切さを力強く語ってくれた。

 

※内容は2020年11月26日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

 

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医療機関情報
施設名 新久喜総合病院
TEL 0480-26-0033
住所 埼玉県久喜市上早見418-1
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