のむら・りゅうたろう
2003年、日本医科大学卒業。10年、日本赤十字社医療センターにてサイバーナイフ治療に従事、20年より現職
生まれた変わった病院の目玉として
サイバーナイフセンターを新設
 2020年4月に病棟を新築し、より充実した診療体制が整った茅ヶ崎中央病院。今回のリニューアルの目玉と呼ぶべきものが、「サイバーナイフセンター」の新設だ。そしてセンター新設にあたり「先生が来てくれなければセンターは新設しない」という理事長の言葉が大きな転機になったと語るのは、当センター長を務める野村竜太郎医師である。
 サイバーナイフとは、コンピュータによる病変追尾システムを用いた定位放射線治療装置で、高精度のロボットアームに高線量のX線を発生する直線加速器を搭載し、病変部に多方向からピンポイントに放射線を照射することで、周囲の正常組織の被ばくをできるだけ軽減し、病変部に対して効果的な威力を発揮する。従来の治療法では、その位置精度を担保するために頭蓋骨をピンで強固に固定する必要があり、対象疾患も頭蓋内に限定されていたが、サイバーナイフは患者に合わせて作成した特殊マスクで頭部を固定し、X線透視による病変追尾システムで精密な位置補正を行うことが可能なため、痛みを伴うことなく低侵襲な治療と言える。また分割照射が可能になったことでより正常臓器への影響を最小限にとどめることが可能だ。頭蓋内だけでなく頭頸部領域、脊椎脊髄領域、体幹部領域の疾患にも適応できるメリットがある。
 「サイバーナイフは、効果的に放射線を照射することで短期間により高い効果を得ることが可能です。さらに治療中に痛みを感じることはなく、全身麻酔も不要なため、外来での通院治療も可能です」と野村医師はそのメリットを強調する。
開設半年あまりで90例あまりの実績を上げる
サイバーナイフ室は白を基調とし、明るく落ち着いた雰囲気で治療を行う
 ちょうど新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言下での船出となった同センターだが、開設半年ですでに90例※あまりの実績を上げている。取り扱った疾患の割合は脳腫瘍といった頭蓋内疾患が全体の7割を占め、そのほかに肺がんや肝臓がん、膵臓がんといった体幹部疾患に加え、脊椎脊髄疾患、耳鼻科領域の疾患と治療対象は多岐にわたる。
 「サイバーナイフの治療適用となるのは、頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む。)及び脳動静脈奇形。原発病巣が直径5㎝以下であり転移病巣のない原発性肺癌、原発性肝癌 又は原発性腎癌、3個以内で他病巣のない転移性肺癌又は転移性肝癌、転移病巣のない限局性の前立腺癌又は膵癌、直径5㎝以下の転移性脊椎腫瘍、5個以内のオリゴ転移及び脊髄動静脈奇形(頸部脊髄動静脈奇形を含む。)です。保険適用は年々拡大され、この低侵襲かつ高精度な治療を受けられる疾患も増えてきました」と野村医師。
切らずに治すがん治療サイバーナイフの存在を
より多くの人に知ってほしい
 現在、患者の多くは茅ヶ崎市外在住者だが、今後は特に地元・茅ヶ崎市や近隣地域の住民に向けてアピールし、地域に根差した医療を展開していきたいと野村医師は語る。「サイバーナイフは、医療関係者の間でも認知度に差があり、より低侵襲な治療法が可能であるにもかかわらず、それを知らずに結果として体への負担が大きい治療法を選択しているケースが少なくありません。こうした状況を変えていくためにも、今後はよりサイバーナイフに関する正しい知識の啓蒙に力を入れていきたいですね」と、野村医師は力強く今後の抱負を語ってくれた。

※2020年4月〜10月

 

※内容は2020年11月26日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

 

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医療機関情報
施設名 茅ヶ崎中央病院
2020年4月新築移転、院内は天井も高く清潔で患者をリラックスさせる
TEL 0467-86-6530
住所 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎2-2-3
ホームページはこちらから(別ウインドウ)

 

受付時間
8:30〜12:00
(耳鼻咽喉科・眼科は11:00まで)
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