くにひろ・たかのぶ(写真右)
国際医療福祉大学熱海病院 教授
日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医


おざわ・としふみ(写真左)
医療法人社団M&D理事長
おざわクリニック院長

歯科と耳鼻咽喉科は隣接する部位の診療を行うが、両科が連携して診療を行っている医療機関は少ない。東京都練馬区にある西武池袋線江古田駅から徒歩2分とアクセスも良い「おざわクリニック」には、歯科と耳鼻咽喉科との連携医療を求めて遠方から多くの患者が来院するという。今回は同クリニックの取り組みについて小澤俊文院長と國弘幸伸医師にお話を伺った。
歯科クリニック内に耳鼻咽喉科部門を立ち上げて
現在のスタイルに
 西武池袋線・江古田駅前にある「おざわクリニック」は、元々は小澤俊文院長が「おざわ歯科医院」として立ち上げた歯科・口腔外科のクリニックであったが、数年前に耳鼻咽喉科を併設したことをきっかけとして「おざわクリニック」に改称した。そして現在、同クリニックで耳鼻咽喉科部門を担当しているのが國弘医師だ。
インプラント患者の術前・術後のケア
歯科と耳鼻咽喉科の連携で
的確な診断とスピーディーな治療が可能に
専用手術室にて内視鏡下副鼻腔手術を行う國弘医師
 上顎インプラント治療後の副鼻腔炎などの副鼻腔トラブルが全国的に多いことが報告されている。 
 現在、國弘医師が行なっている日帰り手術の症例の中心となっているのがインプラント埋入術後、あるいはサイナスリフト(上顎洞底挙上術)後のトラブル(副鼻腔炎)の治療と、同クリニックの歯科あるいは他医院でサイナスリフトを行う前の副鼻腔病変の治療だ。
 鼻腔と副鼻腔(前部篩骨洞)の形体異常があり上顎洞の換気排泄路が狭いと、サイナスリフト(骨造成法)などのインプラント治療後に生じる上顎洞粘膜の浮腫によって上顎洞換気排泄路が閉塞し上顎洞炎が生じやすくなる。したがってインプラント治療後に上顎洞粘膜に浮腫が生じても上顎洞換気排泄路が閉塞して上顎洞炎が生じることがないように、インプラント治療前に鼻腔と副鼻腔の形体異常を治す。インプラント治療後の上顎洞炎のリスクが最も大きく頻度も高い形体異常は鼻中隔彎曲症である。
 膿性鼻汁、鼻閉、頭痛などの副鼻腔炎の症状を訴えて来院した患者さまにおいて虫歯が原因であることも珍しくない(歯性上顎洞炎)。上述したインプラント治療後の上顎洞炎も一種の歯性上顎洞炎といえるが、上顎の虫歯が原因となった上顎洞炎も炎症が上顎洞内にとどまっている症例は少なく、多くの症例では前部篩骨洞および前頭洞にまで炎症が及んでいる。こうした症例では歯科医師と耳鼻咽喉科医とが協力して治療にあたる必要がある。おざわクリニックでは、こういった症例に対して内視鏡下に鼻中隔矯正術や副鼻腔開放手術を日帰りで行なっている。
 「基本は日帰り手術ですが、入院を必要とする比較的大きな手術にも対応できる手術環境は整っています。近隣の入院施設のある外科病院と連携しています」と國弘医師は語る。こうした同クリニックならではの治療環境を求めて、遠方から足を運ぶ患者が多い。
診療科の狭間で苦しむ患者を
一人でも減らしたい
 最後に現在の同クリニックの診療スタイルを作るために尽力した小澤院長は、次のような言葉で今後の抱負を語ってくれた。
 「歯科医と耳鼻咽喉科医の間で情報や治療方針の連携が取れないことで誰が困るのかといえば、それは患者さまです。診療科の壁の狭間で苦しむ患者さまを1人でも減らしたい。そうした強い思いで、今後もこのスタイルを発展させていきたいと考えています」と力強い言葉で語ってくれた。

 
 
 
 
 

※内容は2021年7月28日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 おざわクリニック
TEL 03-3992-8686
住所 東京都練馬区栄町29-1 青山堂ビル2F
公式Webサイト(別ウインドウ)

 

診療時間(耳鼻咽喉科)
9:30〜 9:30〜13:30 9:30〜12:30
14:00〜 14:00〜18:00 15:00〜16:00 14:00〜16:00