ほり・たかき
医学博士。
1987年、徳島大学卒業。90年、国立循環器病センター心臓血管外科(現、国立循環器病研究センター)。2000年、徳島大学病院心臓血管外科助教授。13年、千葉西総合病院を経て20年より現職。3学会構成心臓血管外科専門医、日本外科学会外科認定外科専門医
新鎌ケ谷駅前という便利な立地に2007年に開院以来、「生命だけは平等だ」という理念を掲げ、24時間365日救急を断らない病院の院長として、そして経験豊富な心臓血管外科医として診療の第一線で日々奮闘している堀隆樹院長。今回は堀院長に、より低侵襲化する心臓血管外科手術、大動脈瘤ステントグラフト内挿術などについて詳しくお話を伺った。
高齢の患者が多く
胸部、腹部痛で緊急搬送される患者も多い
手術は心臓血管外科の川谷洋平部長(写真右)と行っている
 総合病院として、地域医療を支えている鎌ケ谷総合病院。同院の患者層の特徴について堀院長は次のように語る。
 「当院の患者層の中心は、県北西部にあたる東葛飾地域の高齢者です。そのため年齢的にどうしても動脈硬化が進行した人や、ある程度の大きさに達した胸部、腹部の動脈瘤などを抱えている患者さまが少なくありません。そうした方が大動脈瘤破裂などを原因とした胸部、腹部痛で緊急搬送されてくることも多いですね。」
患者のQOLを考慮し
低侵襲の血管内治療が第一選択肢
 大動脈の動脈硬化が進行すると、血管が血液の流れの圧に負けて一部が風船のように膨らんでしまう「大動脈瘤」ができたり、内膜、中膜、外膜の3層に分かれている大動脈の中膜が裂け、大動脈の壁であった部分に血液が流れ込むことで大動脈内に二つの通り道ができる「大動脈解離」などの発症リスクが高まる。大動脈瘤は破裂すれば大出血を起こし、大動脈解離の場合には、主要な臓器へ血流を送る分枝血管にまで裂け目(解離)が進んでしまうと、血流障害によって各種臓器が虚血壊死を起こして死に至ることもある、いずれも深刻な疾患だ。
 そこで破裂や解離の進行を防ぐために、薬による保存的治療が行われるが、症状が進行してリスクが高まっている場合には外科的アプローチが必要となる。
 「当院では、身体的負担を軽減し、早期社会復帰を可能にする低侵襲手術を積極的に導入しています。特に大動脈瘤や大動脈解離に対し、胸部や腹部を切開せず、血管が脆くなった部分に対してカテーテルを用いて血管の内側から補強するステントグラフト内挿術(EVER、TEVER)や、傷んだ血管を人工の血管に繋ぎ替える人工血管置換術などを行なっています。これらの施術をより安全に行うために2021年7月末頃にオープンさせるのがハブリッド手術室です」と堀院長は語る。
ハイブリッド手術室の開設で
先端医療も可能に
 ハイブリッド手術室とは、手術室と血管造影室を組み合わせた特殊な手術室のことだ。術中に造影剤を使用した3D画像の構築が可能になり、ステントグラフト治療などの血管内治療をより安全に行う事ができるようになるという。また、ハイブリッド手術室完成後は経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)などの最新治療の開始も視野に入れている。
 「鮮明な3D画像が撮影できれば、その画像を元に3Dプリンターでオーダーメイドの人工血管を作ることも可能です。まだ取り組んでいる病院が少ないアプローチだけに、ハイブリッド手術室を最大限に活用して、今後はこうした先端医療に積極的に取り組んでいきたいと考えています」と、堀院長は最後に今後の豊富を語ってくれた。

 
 
 
 

※内容は2021年7月28日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 鎌ケ谷総合病院
TEL 047-498-8111
住所 千葉県鎌ケ谷市初富929-6
公式Webサイト(別ウインドウ)