ふなだ・りゅういち
医学博士
2002年、群馬大学医学部卒業。同年、群馬大学医学部附属病院第二内科。04年〜11年、東京都心臓血管研究所付属病院循環器内科。11年群馬大学医学部大学院卒業。12年~群馬大学医学部附属病院循環器内科。19年より現職。
日本内科学会認定総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会代議員
有名温泉地として名高い「伊香保温泉」を擁する、群馬県・渋川市。その地で1989年の開業以来、心臓と血管治療を柱に幅広い疾患に対応し、地域医療を担ってきたのが「北関東循環器病院」だ。2019年に同院に赴任以来、心臓に対する血管内治療の実績を飛躍的に上げている船田竜一循環器科部長に、現在の取り組みや将来への豊富などについて語っていただいた。
広い医療圏をカバーし
地域医療を支える
白を基調とし清潔感のある明るい院内
 北関東循環器病院がある渋川市は、群馬県のほぼ中央に位置している。「当院は渋川市そして、県西部の吾妻地区における唯一の循環器疾患専門病院です。そのため医療圏がとても広いのですが、地域の開業医の先生方や近隣の病院との連携をはかり、群馬県内での地域医療を支えています」と船田医師は指摘する。
ロータブレータを用いて
長期成績の良い治療を目指す
 同院では人工透析を扱っているが、透析患者はどうしても動脈硬化が進みやすく、心不全や心筋梗塞の発症リスクが高い。さらに地域医療を預かる同院では救急搬送の受け入れも多く、2019年度は746件、そして新型コロナウイルスの影響を受けた2020年度でも576件の受け入れを行なっており、救急搬送されてくる患者の中には胸痛を訴える者も多く、緊急に処置が必要なケースも少なくないという。
 そうした心疾患の患者に対し、船田医師を中心に積極的に取り組んでいるのが「経皮的冠動脈インターベンション(PCI)」だ。PCIは脚の付け根や腕、手首などの血管からカテーテルを挿入し、冠動脈(心臓の血管)が狭くなっている部分にバルーン(風船)を取り付けて内側から膨らませ血管を押し広げる治療法だ。最近ではデバイス(道具)の進化に伴い治療法も多様化しており、金属を網の目状にした筒形のステントを血管の中に留め置き、血管を内側から補強する治療(ステント治療)や、狭窄を起こしている病変が石灰化して硬くなり、バルーンやステントでは処置できない場合には、先端にダイヤモンドが埋め込まれた小さなドリル「ロータブレータ」と呼ばれる特殊な機器を使い、石灰化した部分を高速回転で穴を開けるようにして血流を確保する治療も行われている。
 「当院では透析患者さまが多いので、血管の動脈硬化の進行が早く、血管が石灰化して非常に硬くなっているケースが少なくありません。こうなると血管に弾力性が失われ、降圧剤を用いても血圧のコントロールも難しくなります。そこでPCIによるアプローチが有効ですが、そのままの状態ではバルーン治療では歯が立たないため、ロータブレータで石灰化した部分を破砕する治療を行っています。これはバルーンやステント治療の前処置として非常に有効で、この処理を行うことで再び血管が詰まることを防げるため、長期成績の良さにも繋げられます」と船田医師は強調する。
 最近はこうした高い技術を求めて遠方から来院する患者も増えており、2020年度のPCI件数は、新型コロナウイルスの影響下であったにもかかわらず、423件と、前年より100件近く増えている。
カテーテルアブレーションで
不整脈治療に対応
ゆとりのある空間の血液透析室は42床の透析ベットを完備
今後より積極的に行っていきたい治療として船田医師が名前を挙げるのが、経皮的カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)だ。これは不整脈治療の一つで、心臓の筋肉の中で不整脈の原因となっている箇所に対し、首や鎖骨の下、足の付け根などからカテーテルを入れて焼灼や冷凍凝固を行うことで不整脈を抑える治療だ。
 「カテーテルアブレーションを導入したことで、従来他院に紹介せざるを得なかった不整脈の患者さまを、当院ですべて治療できるようになりました。今後もよりいっそう充実させていきたいと思っています」と船田医師は力強く語る。
高度な医療体制と設備を整え
身体へ負担の少ない治療を提供
経験豊富な循環器専門医が行うペースメーカー植え込み術、小型化され身体的負担をより軽減させる

最新の医療設備を完備したカテーテル室にて船田医師を中心に心臓カテーテル治療を行う
 一般的に救急搬送を行う際、救急隊員が医療機関へ連絡を取り救急搬送の受け入れ確認を行うが、同院では、よりスムーズな受け入れ体制を整えるべく画期的な独自の取り組みを行っている。それが「24時間365日循環器直通ホットライン」の開設だ。心肺停止などより搬送に急を要する場合、船田医師への直通ダイヤルを近隣の救急隊へ周知させておくことで、救急隊と医師がすぐに、そして直に連携を取り合いより適切な救急搬送、そして救急車内での迅速な薬剤投与を可能にしている。
 「救急受け入れを迅速に行い、可能な限り患者さまを断らない医療を目指しています。当院は、心臓の血管治療のみならず下肢動脈などの全身血管へのカテーテル治療や外科的手術さらに不整脈治療やペースメーカーといった、あらゆる循環器疾患に対して高度な先進的医療を提供していきます」と船田医師は優しい笑顔で力強く語ってくれた。

 
 
 
 
 
 
 
 

※内容は2021年7月28日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 北関東循環器病院
理事長・院長 市川 秀一
TEL 027-232-7111
住所 群馬県渋川市北橘町下箱田740
公式Webサイト(別ウインドウ)

 

診療受付時間
8:30〜11:30
13:30〜16:30

※急患はこの限りではありません。24時間365日いつでもご連絡ください