ひらばやし・ひでひろ
医学博士、PhD (ウメオ大学、スウェーデン)。
1983年、奈良県立医科大学卒業。奈良県立医科大学脳神経外科准教授。
2018年から現職 国立病院機構 奈良医療センター院長。
日本脳神経外科学会代議員
日本定位・機能神経外科学会理事長
日本ニューロモデュレーション学会理事
長年、高度な脳神経外科治療を提供してきた大西脳神経外科病院。熟練した医師やスタッフ達が在籍し24時間365日救急対応を実施。注目されている「ふるえ」の治療に対しても大西英之理事長指導のもと、いち早く治療体制を整えた。今回、ふるえ治療の権威である同院顧問の平林医師に話を伺った。
脳神経外科専門病院の特質を活かし
本格的「ふるえ」治療を実現

熟練した脳神経外科専門医による最新のふるえ治療を実現
 脳神経外科の専門病院である大西脳神経外科病院は、脳卒中をはじめ頭部外傷や脊椎・脊髄損傷、更にアルツハイマー病や脳血管性認知症、パーキンソン病等まで幅広く対応している。また、日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医が10名在籍し、急性期治療からリハビリテーションまで充実したトータルケアを実現している。
 近年、本態性振戦やパーキンソン病など「ふるえ」をきたす疾患が増加している。本態性振戦は人口10万人当たり400人〜3900人、
65歳以上では4600人、パーキンソン病は、100〜180人の患者がいるとされており、高齢化とともに急増しているため、治療体制の確立が急務となっている。地域の中核病院として奮闘する同院では、時代の流れをいち早く掴み、患者のニーズに応えるべく「ふるえ」の治療にも力を入れている。
 「本態性振戦は、主に両手にふるえが起こるのが特徴で、命には関わりませんが、文字を書いたり箸を持ったり等の日常生活が障害されます。パーキンソン病は、安静時のふるえ、動作緩慢、体が固くなることを特徴とする運動疾患ですが、嗅覚障害や便秘、睡眠障害など非運動症状を含めた多彩な症状を呈します」と同院顧問の平林秀裕医師は丁寧に説明する。
豊富な経験と高い技術力で
高度なふるえ治療を実現

 ふるえの治療は、いずれの疾患も薬物療法が行われるが無効な時は外科的な治療が検討される。外科治療の歴史は古く、1954年、高周波視床凝固術、1987年、脳の破壊を伴わない脳深部刺激療法が発明され、現在の定位機能神経外科手術のスタンダードとなっている。2010年、開頭を必要としないMRIガイド下集束超音波療法(MRgFUS)による本態性振戦の治療が発表され、本邦では2019年6月本態性振戦に、2020年9月パーキンソン病に対して保険適応となった。その間FUSは16施設に導入されており、着実に機能的脳神経外科手術の一分野として成長し、ふるえ治療の主役になりつつある。
 FUS導入5施設目となる同院は、保険適用以前の2016年5月よりFUSによる治療を開始し、100例※の豊富な実績をもとに高度なふるえ治療を行っている。「FUSは開頭することなく、約1000本の超音波ビームを特定の神経核(ターゲット)に照射して「凝固」する装置で、照射位置と温度をMRIでリアルタイムにモニターしながら治療するため、従来の高周波凝固療法や脳深部刺激療法に比べて各段に低侵襲な治療方法です」と平林医師は語る。
 術後のディバイス調節や管理も不要なため、『手術は怖いけど、とりあえず振戦をとめたい。パーキンソン病を治したい』という患者にとって、治療を受ける際のハードルが低いのが注目すべき点の一つだ。「頭蓋骨の状態により治療できないことや、保険適応が一側にしか認められていないなどの課題もありますが、脳腫瘍、アルツハイマー病などへの応用も試みられており、今後の発展が期待される治療法です。ふるえの症状は改善できる時代です。『年だからしょうがない』と諦めず、気になる方は専門の医師へ相談して欲しいですね」と平林医師は優しく語ってくれた。

 

※2016年5月〜2021年12月

 
 
 

※内容は2022年1月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 大西脳神経外科病院
理事長 大西 英之
脳神経内科 小坂田 陽介
TEL 078-938-1238
住所 兵庫県明石市大久保町江井島1661-1
公式Webサイト(別ウインドウ)