はた・まさとし
1998年、大阪大学卒業。その後、大手前病院、大阪母子医療センター、大阪医療センター、大阪大学附属病院に勤務。2006年から14年間、ドイツのバドユンハウゼン心臓糖尿病センターで上級指導医師として勤務。21年1月より現職。
大阪大学招聘准教授
2021年より、更なる医療技術向上を図り変革を遂げた大阪警察病院。ドイツに渡り世界水準の高度な心臓血管外科手術の技術を習得し、後進育成も精力的に行ってきた心臓血管外科部長秦雅寿医師に話を伺った。
高い技術力で僧帽弁修復術を可能に
整容性の高い低侵襲治療を提供
日本低侵襲心臓手術学会(J-MICS)前代表理事
大阪警察病院 院長
澤 芳樹
昨今の心臓血管外科領域では手術がより低侵襲化の方向に進んでおり、世界的にもMICSへのニーズは高まりつつあります。MICSが日本においても脚光を浴びる中、当院では、今後、更なる発展を目指し、心臓血管外科領域における安全な普及に努め、より一般的な治療の確立に尽力していきたいと考えております。
 従来、心臓手術は20〜30㎝もの開胸を伴うため、骨の癒合まで2〜3ヵ月を要する。そのため、運動や車の運転などの行動制限がかかるだけでなく、大きな傷跡が残ることなど身体への負担が大きい。大阪警察病院では、患者の身体的・精神的負担軽減を目指し、早期社会復帰が可能な低侵襲心臓手術(MICS)を積極的に行っている。傷口が小さい低侵襲手術として注目されている手術だが、その中でも完全内視鏡下手術は極めて専門性が高く、国内でも術者の数が限られている。胸骨を切開しないのが大きな特徴で、右側の肋骨の間を3・5㎝前後切開し内視鏡で視野を確保しながら僧帽弁を治す、という医師の高度な技術力が必要不可欠な手術だ。
 同院で高度なMICSを可能にしたのが、秦雅寿医師の存在である。2021年より同院の心臓血管外科部長として赴任した秦医師は、14年もの間、ドイツの心臓外科手術の第一線で活躍してきた実力派の心臓血管外科医だ。
 「僧帽弁が修復できるかどうかというのは重要なファクターです。人工弁への置換よりも、本来の弁を治す方が確実に健康寿命を伸ばせます。術後、患者さまがより良い生活を送れるよう、これまで培ってきた心臓手術の経験を活かし、症状に合った低侵襲な手術に力を入れております」と語る秦医師は、僧帽弁の修復術を数多く手がけてきた豊富な経験から、術後の整容性の高さにもこだわりを見せる。
 「特に女性の場合、術後の傷跡を心配されます。MICSは、乳房のラインに合わせて切るため、右胸の下部にわずかな傷跡が残る程度で済みますので、患者さまもどこに手術を行い傷跡があるのか気付かないこともあります。傷跡が目立たない事は、患者さまに大変喜ばれています」と秦医師は語る。
ドイツで培った豊富な経験を活かし
日本における心臓手術の発展に貢献
熟練した技術力で高度な低侵襲手術を実践
 「医療技術の差はすなわち手術の経験数です。ドイツでは1日3回手術を行っていましたが、日本での心臓手術はおそらく週3、4回が限度です。ドイツでは、術者も患者さまも専門施設に集約し、スムーズに手術が行える環境が整えられています。日本でもこのような集約化ができれば、より多くの方へ高度な医療が提供できると考えております」と秦医師は熱く語る。
 渡独後ドイツ語を一から学び、欧州最大と謳われるドイツのバドユンハウゼン心臓糖尿病センターで様々な手術経験を積んできた秦医師。常に第一線で修練を重ね、最終的には上級指導医師の立場として心臓手術全般に数多く関わってきたという。
 その秦医師の医療技術や医師としての姿勢を高く評価したのが同院の澤芳樹院長だ。ドイツに渡り秦医師に積極的にアプローチをかけ、スカウトし今に至る。今後、澤院長と秦医師との二人三脚で織り成す、日本の心臓手術の改革に期待がかかる。

 
 
 
 

※内容は2022年1月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 大阪警察病院
TEL 06-6771-6051
住所 大阪府大阪市天王寺区北山町10-31
公式Webサイト(別ウインドウ)

 

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