たむら・むつひろ
1995年、慶應義塾大学医学部卒業。同年慶應義塾大学整形外科学教室入局。川崎市立川崎病院、国立病院機構村山医療センター、済生会横浜市東部病院などを経て、2012年より現職。
日本整形外科学会認定整形外科専門医
内視鏡を用いた低侵襲の手術に着目し、脊椎内視鏡手術(MED、FESS)や、後方からの低侵襲固定術(MISt)など積極的に取り組み、同センターでの執刀手術約6300例※という経験を誇るのが、横浜市・鶴見区にある「平和病院・横浜脊椎脊髄病センター」の田村睦弘センター長だ。今回は同センターの取り組みから将来のビジョンまで語っていただいた。
最新の手術だけではなく
あらゆる保存治療を提供
 脊椎脊髄疾患に関する横浜地域の拠点病院となるべく「平和病院・横浜脊椎脊髄病センター」が誕生したのは2012年のことだ。田村睦弘センター長は、開設以来同センターを牽引してきた。
 「当センターには、地域の医療機関で手術が必要かもしれないと判断された患者さまが紹介で来院されるケースがほとんどです。しかし実際に検査をしてみると、当センターの保存治療で症状の改善が見られる人がおよそ8割で、実際に手術に至るのは2割程度です」症状や病態にあった薬剤治療、各種ブロック治療、運動療法(リハビリテーション)から入院治療まで、保存治療の全てのメニューを提供できる医療機関は意外と少ない。全ての保存治療に加え、最新の手術までをもカバーしている点が同センターの強みだと、田村センター長は語る。
患者のライフスタイルに合わせた
オーダーメイドの医療を提供
熟練した技術で高度な脊椎外科治療を実施
 同センターでは脊椎内視鏡による低侵襲の手術(MED・MEL・PED・FESS)や脊椎圧迫骨折治療の経皮的椎体形成術(BKP)、低侵襲固定術(MISt)など、最新の低侵襲手術を実践しているが、低侵襲手術のメリットは傷口の小ささだけにとどまらないと田村センター長は指摘する。
 「内視鏡手術の場合、患部に直接「目」となるカメラが入るため、従来法と比較して患部の状態を詳細に観察できます。そのため内視鏡手術は術後の合併症が極めて少ないというメリットもあります」
 さらに内視鏡手術の場合、術後すぐに動けるため、寝たきりの期間が長引くことによる認知症や合併症の発生リスクを軽減でき、高齢者にも手術の機会を提供できるメリットもあると田村センター長は強調する。
 「当センターが目指しているのは、患者さまそれぞれのライフスタイルに合わせたオーダーメイドの治療です。同じ年齢の患者さまでも、最低限の身辺の自立ができればいいという人もいれば、旅行や登山も楽しみたいという人もいらっしゃる。あくまで患者さまの状況を基準に治療方法を選択しているので、手術適応の症例にブレがありません」と田村センター長は語る。
医療の進化に貢献し後進の育成にも注力
 現在のセンターは、自分がやりたかった背骨に関する医療を全て実現できる環境が整っていると語る田村センター長だが、それでも医療はまさに日進月歩、常に新しい物を取り入れる姿勢が大切だと語る。
 「今後はインプラントの改良や新しい術式の開発にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。現在はその一環として、放射線被曝のリスクがない、術中の放射線透視を使わない内視鏡手術に取り組んでいます。さらには医療機器の改良が進んで安全性が高まったことから、ナビゲーション支援手術やロボット手術も近々導入を予定しています」
 術式の改良、後進の育成、そして何より患者満足度の高い医療の提供を目指して、これからも田村センター長の挑戦は続いていきそうだ。

 
 
 

※内容は2022年1月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 平和病院 横浜脊椎脊髄病センター
TEL 045-581-2211
住所 神奈川県横浜市鶴見区東寺尾中台29-1
公式Webサイト(別ウインドウ)

 

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