ふくもと・よしひろ(写真右)
医学博士。1991年、九州大学医学部卒業、九州大学循環器内科入局。98年、ハーバード大学ブリガム・ウイメンズ病院研究員。2001年、九州大学循環器内科。06年、東北大学循環器内科。11年、東北大学大学院医学系研究科准教授。13年、久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門主任教授。14年、久留米大学病院高度救命救急センター副センター長兼任。15年、久留米大学循環器病研究所所長兼任。17年、久留米大学病院副院長兼任。
日本循環器学会認定循環器専門医


みつたけ・よしあき(写真左)
医学博士。2003年、熊本大学医学部医学科卒業、久留米大学第三内科入局。08年、久留米大学医学部心臓・血管内科助教。14年、スタンフォード大学循環器科客員助教。17年、医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部審査専門員(臨床医学担当)。20年4月より現職。
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心臓血管内視鏡学会評議員

ドクターヘリが常駐する高度救命救急センターを備え、県内外からも多くの患者が訪れる久留米大学病院。2019年4月、東アジアで初めて冠動脈インターベンション(PCI)の補助ロボットを導入するなど、最新治療を行う循環器病センター率いる福本義弘医師、光武良亮医師に話を伺った。
患者・術者双方へのメリットをもたらす
補助ロボットによる最新の低侵襲治療
豊富な治療経験をもとに高度なPCIを実現
 近年、狭心症や心筋梗塞などの治療として注目されている冠動脈インターベンション(PCI)は、手首や脚のつけ根からカテーテルを挿入し、狭窄あるいは閉塞している冠動脈をバルーン拡張やステント留置により、冠動脈の血流を改善させる低侵襲治療だ。しかし、開胸を伴うバイパス手術と比べて身体に負担が少ないというメリットがある一方で、放射線被ばく線量や造影剤の使用などの影響が問題視されている。
 同院が全国に先駆けて導入したPCI補助ロボットは、様々な問題をクリアできるとして多くの期待が寄せられている。その最大の利点が、患者や術者を含めたスタッフへの負担軽減だ。「術者の被ばく量は95%減少します。従来の手術と異なり、鉛入りのプロテクター着用の必要がなく、座ってモニターを見ながらジョイスティックを操作して治療を行います。そのため肉体的・精神的にも落ち着いて治療を行うことができ、女性医師の術者増加も期待されています」と様々な利点から治療の精密性向上につながっていると副院長の福本義弘医師は語る。さらに、患者に対する直接的メリットも大きいと強調する光武良亮医師。「血管内のガイドワイヤーが完全固定され、バルーンやステントの位置を1ミリ単位で調整することが可能です。セッティングに多少時間がかかりますが、治療そのものの時間を短縮できる可能性があるため、患者さまに対しても造影剤の量や被ばく線量を低減でき、身体への負担がさらに少なくできると考えます」
精鋭揃いの高度なチーム医療を実践
ロボット補助PCIの更なる可能性
徹底した衛生管理と高精度な医療機器を完備
 同院では、十分な修練を積み一定以上の基準をクリアした医師が6名在籍しており、治療の際は、医師2名、看護師、放射線技師、臨床検査技師の高度なトレーニングを受けた精鋭スタッフ5名体制で治療にあたっている。「ロボット補助PCIが適応できるかどうかの判断を下すためには、PCIの豊富な治療経験が必要不可欠です。治療中、状態によっては用手に切り替えることもあるため、様々な状況に適応できる実力が必要です」と光武医師は指摘する。PCI補助ロボットは既に二度のアップデートを経て、より繊細で連続性のある動きが可能になった。将来的には下肢動脈治療などへの応用も期待されている。また、リモート手技の実用化が進み、すでに海外では30㎞離れた場所からの遠隔操作による治療を成功させたという。「当院で治療を受けられる患者さまは60〜70代が最も多く、上は90代の方もいらっしゃいます。より低侵襲で高性能なロボット補助PCIの普及により、離島など専門医の少ない地域への活用も広がっていくことでしょう。安全性・確実性の高い治療を目指し、将来的には国産ロボットの開発も視野に入れ、更なる医療の発展に貢献したいと考えています」と福本医師は熱く語ってくれた。

 
 
 
 
 

※内容は2022年1月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 久留米大学病院
TEL 0942-35-3311
住所 福岡県久留米市旭町67
公式Webサイト(別ウインドウ)

 

診療時間
8:30〜17:00

【休診日】土、日、祝、年末年始