新京成線常盤平駅より、徒歩約8分の場所にある千葉西総合病院。最新の医療機器を設置した心カテーテル専用の手術室「カテーテルスタジオ」を完備し、「チーム・デルタ」のリーダーとして、今も臨床の第一線で指揮を取り続ける三角和雄院長に同院の取り組みについてお話しを伺った。

「カテーテルスタジオ」を設置し
患者の命を救う迅速な処置を実現

　心カテーテル治療で、豊富な実績を誇る千葉西総合病院。その実績を支えているのが、心カテーテル専用の手術室「カテーテルスタジオ」だ。
　「２０１３年に新病棟を建設した時に、こちらのスタジオを作りました。心筋梗塞に対する処置の遅れは、患者さまの救命に直結します。当院でカテーテル治療を希望する多くの患者さまに加え、発作を起こしてから緊急搬送されるケースも多い当院において、全てのケースに迅速に対応するためには、最低限手術室が６室必要でした」と、三角院長はカテーテルスタジオ誕生の経緯を語る。
　スタジオの中には宇宙船のコックピットのような空間が広がり、全ての手術室の様子や患者のバイタルが画面に映し出される。三角院長は「艦長席」といえる司令塔スペースから、全ての手術室の様子をモニター越しに見守り、必要に応じて指示を飛ばす。こうしたスタイルの確立により、患者の救命、高い医療レベルの維持、さらには医療スタッフの育成という３つの医療現場のニーズを全て満たすことを実現。整った環境で高い技術の医療を受けたいと、海外からも患者が訪れるという。

親指のつけ根からカテーテルを入れる
低侵襲な手術を実現

　同院で行われているカテーテル手術の中心が、「経皮的冠動脈インターベンション（以下：ＰＣＩ）」だ。これは動脈硬化などが原因で心臓につながる冠動脈が詰まった患者に対し、カテーテルを用いて患部で風船を膨らませて血管を押し広げ、そこにステントを留置して血流を回復させる手術だ。一般的には鼠径部や手首からカテーテルを入れるが、同院では親指のつけ根から入れることで、より低侵襲で、術後の患者負担が少ない手術が行われている。
　そして冠動脈が石灰化して通常のＰＣＩでは処置が難しい患者に対しては、カテーテルの先端にダイヤモンドの細かい粒を付着させた小さなドリルをつけて、石灰化した部分を削る「ロータブレーター」や、冠動脈に挿入されたカテーテルの先端からレーザーを照射し、閉塞した血管を開通させる「エキシマレーザー」といったより高度な治療も行っている。
　さらに同院の治療で注目すべきは、再狭窄予防に対する取り組みだ。
　「カテーテル手術を受けた患者さまの５〜10％が、再狭窄を起こすといわれています。そこで血管を拡張する際に使用するバルーンの表面に、再狭窄を予防する効果のある薬を塗って患部に挿入することで再狭窄を予防する『薬剤溶出バルーン』を積極的に取り入れています」と、三角院長は語る。

心臓疾患に「様子を見ましょう」
という言葉は存在しない

　同院ではコロナ感染の危機が叫ばれ始めるとすぐに専用病棟の建築に着手した。感染対策を徹底することで、コロナ感染を理由に心筋梗塞の治療を断られ、命の危機に瀕した多くの患者に手を差し伸べるなど、患者の命を救うための対策に徹底して力を注いでいる。
　「心臓疾患に関しては、『様子を見ましょう』という言葉は存在しません。動脈硬化の進行度と発作が必ずしも比例しないことは、アメリカの医学雑誌でも紹介されています。動脈硬化のある人は、いつ爆発するかわからない時限爆弾を抱えて生きているのも同然です。しかし迅速で正しい治療を受ければ、１〜２日の入院で命のリスクから開放されます。運動後などに胸が締め付けられるような痛みを体験した人なら、ぜひ一度検査を受けていただきたいですね」と、三角院長は最後に力強く貴重なアドバイスを送ってくれた。

※2021年1月~2021年12月

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医療機関情報
施設名	千葉西総合病院
TEL	047-384-8111（代表）
住所	千葉県松戸市金ケ作107-1
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