こやま・かずゆき(写真右)
1988年、名古屋市立大学医学部卒業。90年、愛知県がんセンター中央病院、94年、県立愛知病院、98年、岐阜県立多治見病院などを経て2022年より現職。


まつした・やすひろ(写真左)
1996年、愛知医科大学医学部卒業。大学病院と袋井市民病院で勤務後、2005年3月より津島市民病院にて定位放射線治療(サイバーナイフ治療器)に携わる。19年より現職。

転移性脳腫瘍に対する画期的な治療法として知られるガンマナイフ治療。「転移性脳腫瘍では絶対に死なせない」を掲げ、ガンマナイフ治療を行なっている名古屋市にある大隈病院・ガンマナイフセンターの小山一之センター長と松下康弘チーフディレクターに、同院のガンマナイフ治療の取り組みについてお話を伺った。
外科的アプローチが難しい脳腫瘍に対して
治療可能なガンマナイフ
東京女子医科大学病院脳神経外科の林基弘教授(左)と真砂敦夫理事長(右)
 ガンマナイフは病巣に対してピンポイントで放射線を照射するという極めて低侵襲な治療法である。日々進化するガンマナイフ治療のさらなる技術向上を図るため、同院ではこの分野のエキスパートでもある東京女子医科大学病院脳神経外科の林基弘教授より、積極的にガンマナイフ治療を学んでいる。
 ガンマナイフの1回の照射時間は30分から1時間半程度で、ほとんどの場合マスクでの照射が可能、腫瘍の大きさ、個数、部位に制限がなく、安全で効果の高い治療だ。通常2〜3日で退院できるという。
 「放射線の全脳照射の場合、認知機能の低下というリスクが報告されていましたが、ガンマナイフによりピンポイントで患部に照射して周囲への侵襲を抑えることで、そうしたリスクも回避できるようになったことは、特に若年の患者さまに対してはかなりの朗報だと思います」と小山センター長は語る。
 同院でのガンマナイフ治療の70%程度は、転移性脳腫瘍に対してのものだ。転移性脳腫瘍が脳内に多発する場合や脳の深いところにある場合は、外科的アプローチでの治療は難しいが、ガンマナイフなら全ての腫瘍にアプローチすることが可能だという。
 「転移を繰り返し、合計300個の腫瘍に対してガンマナイフで治療した患者さまがいますが、なんの後遺症もなく、今も元気に経過観察に通院されています」と松下チーフディレクター。
「最新のガンマナイフ」導入で
より患者負担の少ない治療を実現
ガンマナイフ専門スタッフが一丸となり細やかな医療を提供。最新のガンマナイフ機器を完備し高度な医療を提供
 同院では2022年9月から、最新の機器である「Iconシステム」を導入している。「従来は頭部にピンで固定していたため固定部に疼痛があり、出血や感染の危険もあり長時間の治療や二日以上に渡る分割での治療は困難でしたが、今は患者さま一人ひとりに合わせ、オーダーメードでマスクを作成することで、装着時の痛みは皆無となり、多発している腫瘍や大きな腫瘍に対しても分割照射ができるようになりました」と松下チーフディレクター。「放射線治療である以上脱毛の副反応の心配はありますが、当院では極力頭皮にダメージを与えないように計画をしていることもあり、そうした副反応も抑えられています」と、小山センター長もその効果を強調する。
 さらに同院では、従来から髄膜腫や脳動静脈奇形、三叉神経痛の治療でも実績を残してきたが、現在は脳動静脈奇形の治療の際に、最新のソフトウェアの導入で、入院後に血管撮影を行う必要がなくなり、負担が軽減できるようになった。三叉神経痛の治療では、「1回の照射で、9割の方に改善が見られています。万一再発した場合、再照射も可能です」と松下チーフディレクター。
より多くの人にガンマナイフ治療の
存在を知ってほしい
 現在、ガンマナイフの治療対象の下限は12歳を目安としていたが、マスク固定になったことで、今後は小学校低学年位まで適用年齢が下げられるのではないかと期待を寄せる。
 「ガンマナイフ治療は外科的アプローチが難しい腫瘍に対しても術後のQOLを維持しながら治療可能な画期的な方法です。医療関係者を含め、より多くの方にこの治療の存在を広めていきたいです」と、小山センター長と松下チーフディレクターは最後に今後の抱負を語ってくれた。

 
 
 
 
 

※内容は2023年1月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

(PR)
医療機関情報
施設名 大隈病院
理事長 真砂 敦夫
TEL 052-991-2111(代表)
住所 愛知県名古屋市北区大曽根2-9-34
Webサイトはこちら(別ウインドウ)

 

診療時間
10:00〜11:00
14:00〜16:00 ※

※完全予約制 ※初診の方は 14:00~14:30