みすみ・かずお(写真左)
医学博士。1982年、東京医科歯科大学医学部卒業後、同学部第三内科。84 年、イリノイ大学シカゴ校(心臓血管病理を研究)、ニューヨーク医科大学、カリフォルニア大学、ピッツバーグ大学にて内科レジデント研修、循環器臨床フェロー研修終了。UCLAグッド・サマリタン病院にて2年半の心血管カテーテル治療専門フェロー研修終了。96年、ハワイ大学臨床助教授。98年、千葉西総合病院心臓センター長。2000年、同院副院長を経て04年より現職。
日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会認定総合内科専門医、日本老年医学会認定老年病専門医、元東京医科歯科大学臨床教授


いいづか・だいすけ(写真右)
2000年、島根医科大学卒業。
日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会認定総合内科専門医、日本透析医学会認定透析専門医

従来開胸しか選択肢がなかった『僧帽弁閉鎖不全症』に対する手術だが、近年はカテーテルを用いた『経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip)』が登場し、手術適用の範囲が広がっている。今回は同手術を2023年3月より開始した千葉西総合病院の三角和雄院長と、実際に手術を担当している飯塚大介循環器内科部長に、同院における取り組みについてお話を伺った。
重篤化すると心不全などを招く
『僧帽弁閉鎖不全症』
豊富な症例数に裏打ちされた経験豊富で
優秀なハートチーム
 心臓には4つの部屋があり、その部屋の出入り口にあたる部分にはそれぞれ心臓の動きに合わせて開閉させることで血液の逆流を防いでいる弁膜(肺動脈弁・大動脈弁・僧帽弁・三尖弁)が存在する。この弁膜に異常が起きると開かなくなる(狭窄症)、閉じなくなる(閉鎖不全症)ことがあるが、その中で左心房と左心室の間にある僧帽弁が閉じなくなると『僧帽弁閉鎖不全症』と診断される。発症初期にはほとんど自覚症状がないが、重篤化すると心機能の低下を招き、悪化すれば心不全の原因ともなる厄介な疾患だ。
僧帽弁閉鎖不全症に対する
カテーテル手術マイトラクリップ
 「僧帽弁閉鎖不全症は加齢が発症原因となるため、誰にでも発症リスクがある疾患です」と語るのは、千葉西総合病院の三角和雄院長だ。「軽中度の場合には薬物療法などを含む経過観察という選択肢もありますが、重度で根治を目指す場合には手術が必要です」と続けて手術を担当する飯塚大介循環器内科部長は語る。
 同疾患に対する手術法は従来開胸手術のみであったため、高齢による体力不足や基礎疾患を理由に手術を受けられない患者が少なくなかった。しかし2018年から足の付け根からカテーテルを挿入し、僧帽弁の前後のいわば口の部分にクリップを挟み込むことで閉じなくなった僧帽弁を閉じるようにして血液の逆流を防ぐマイトラクリップが保険適用となり、手術の適用範囲が広がっている。「開胸手術の場合術後2〜3週間の入院が必要でしたが、マイトラクリップでは1週間以内に退院が可能です」と飯塚部長はそのメリットを強調する。
高難度の手術を可能にする
『ハートチーム』『カテーテルスタジオ』
 新型コロナの影響を受けて導入が遅れたものの、同院でマイトラクリップを開始できたのは、整った手術環境と医療体制によるところが大きいと三角院長は語る。
 「当院では循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、臨床工学技士などからなる『ハートチーム』があります。マイトラクリップを行うためには、心臓のすぐ後ろにある食道側から心臓を観察する経食道心臓エコー検査などを行い、患部を3次元的に捉えて正確に患部を割り出す必要があります。それができるのも、このハートチームの存在があるからです。さらに当院には万が一の時にはすぐに開胸手術に切り替えられるハイブリッド手術室もあるので、低侵襲な手術を、安心して行える環境が整っています。これからもなるべく幅広い選択肢を用意し、患者さま一人ひとりに合わせた適切な治療を提供していきたいですね」とハートチームの重要性について三角院長と飯塚部長の両医師は語ってくれた。

 
 
 
 
 

※内容は2023年7月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 千葉西総合病院
TEL 047-384-8111(代表)
住所 千葉県松戸市金ケ作107-1  
公式Webサイト

 

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