すずき・かずひで
1990年、昭和大学医学部卒業。昭和大学藤が丘病院整形外科入局。99年、昭和大学藤が丘リハビリテーション病院を経て2011年より現職。
日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本肩関節学会代議員、日本スポーツ整形外科学会代議員、神奈川上肢外科研究会世話人、早稲田大学ラグビー部チームドクター
スポーツ選手が負傷した時、早めに適切な治療を受けられるかが、その後の選手生命を左右する。麻生総合病院のスポーツ整形外科では、スポーツ選手から高齢の方まで幅広く、専門性の高い肩関節治療を提供している。今回、肩腱板断裂の症状や治療について鈴木一秀スポーツ整形外科部長へ話を伺った。
スポーツに起因する障害など
ニーズに合わせた治療を実施
高度な医療技術を要する関節鏡視下手術。傷口が小さく低侵襲で早期回復も可能にする
 生涯を通じてスポーツを楽しむ方が増えている分、それに比例して増加しているのがスポーツに起因した障害だ。川崎市麻生区にある麻生総合病院では、2011年よりスポーツ整形外科を開設し、スポーツ由来の障害を中心に、加齢に伴い出現してくる五十肩など、肩・肘周りの疾患に対して専門性の高い医療を提供している。その中心として活躍しているのが、長年、肩関節治療に注力してきた鈴木一秀スポーツ整形外科部長だ。
 「当科を受診されるおよそ7割がスポーツ由来の障害を抱えている方です。患者さまの希望に出来る限り応えられるよう、スポーツの早期復帰を目指して、症状に合せたより適切な治療を行っています。中でも特に多いのが肩関節の脱臼ですが、繰り返す脱臼の再発を防ぎ早期スポーツ復帰のために開発した関節鏡視下手術を積極的に行っています」
 患者のニーズに合わせた豊富な知識や経験をもとに、早稲田大学・ラグビー部のチームドクターも務めている鈴木医師のもとには、ラグビーなど相手との激しい接触のあるコリジョンスポーツの選手たちが全国から来院してくるという。
痛みのない日常生活を目指す
『肩腱板断裂関節鏡視下手術』
専門性の高いスタッフによる質の高いリハビリテーションの提供
 鈴木医師が特に力を入れているのが、肩にある4つの腱で成り立っている肩腱板が切れてしまう肩腱板断裂に対する治療だ。
 「肩腱板断裂は、転倒など強い衝撃が加わったことが原因になるだけではなく、加齢などが要因で自然と断裂している場合もあります。肩の疼痛や動きが悪くなるなど、いわゆる五十肩の症状と似ているため肩腱板断裂に気づかず放置してしまい、悪化するケースが増えています」と鈴木医師は指摘する。
 肩腱板断裂の治療には、保存と手術の2つの療法があるが、手術の適応になるかは年齢や疼痛および動きの制限の程度のほか、個々人のライフスタイルによるところが大きいと鈴木医師は語る。保存療法の場合、一般的に消炎鎮痛剤などの内服、ヒアルロン酸やステロイドなどの注射、運動療法などが中心になるが、同院では腱板部分断裂に対しては自身の多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)を用いて腱の修復を促す、再生医療の『PRP療法』にも対応している。そして手術の場合でも、身体に極力負担をかけないよう、低侵襲な関節鏡視下手術を適用しているという。
 「肩腱板断裂に対する関節鏡視下手術の場合、1㎝前後の手術創を5カ所作り、そこから内視鏡で鏡視して、骨に置き換わる素材(吸収性)の『スーチャーアンカー』という糸の付いた楔(くさび)を腱板の付着部である大結節という骨に入れます。そして腱板の断裂部位にスーチャーアンカーの糸を通して大結節に縫合します。手術時間は40〜50分程度で、4日から1週間程度の入院が基準ですが、断裂の大きさにより術後2週間から長い場合には1ヶ月半程度、肩装具による固定が必要になります。そのため当院では、1人暮らしの高齢の方などにも対応できるよう、2ヶ月程度入院してリハビリに専念していただける環境を整えています」
 一般的に重労働や、スポーツ選手の競技復帰には術後6ヶ月から1年程度かかると言われているが、治療が難しいケースでも、あきらめず果敢に治療に挑むという鈴木医師。同院は、修復が難しいほど大きく断裂している場合でも、『きょくかきん棘下筋回転移行術』という、高度な治療を実施する全国でも数少ない医療機関の一つでもある。
 「短期成績の段階ですが、肩甲骨の筋肉を剥がして補うこの術式を行うことで、従来30〜50%程度あった術後再断裂のリスクが12・5%まで抑えられています」と、鈴木医師はその効果を語る。
治療後も症状改善しない方は
肩関節治療の専門家に受診を
 同院では、より適切な治療を行うため、肩の痛みなど肩腱板断裂の可能性のある症状に対し、高精度なMRIで検査を実施することで早期発見にも努めているという。「肩腱板断裂の場合、小さな部分断裂なら稀に自然回復することがありますが、完全断裂の場合基本的に断裂が拡大します。すると腱で肩関節が支えられなくなって関節の位置がずれて変形性肩関節症を発症し、最終的に肩の人工関節置換術が必要になる場合もあります。保存治療を続けていてもなかなか症状が回復しないといった場合には、一度肩関節治療の専門家を受診していただきたいですね」と、鈴木医師は最後にセカンドオピニオンの大切さを強調した。

 
 
 
 
 

※内容は2023年7月31日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 麻生総合病院
TEL 044-987-2522
住所 神奈川県川崎市麻生区上麻生6-25-1 
公式Webサイト

 

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