むらい・やすお
医学博士。1993年、日本医科大学医学部卒。2003年、旭川赤十字病院脳神経外科医務嘱託。04年、米国ワシントン大学客員研究員、17年、日本医科大学脳神経外科准教授を経て23年より現職。
日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、
日本脳神経外科学会代議員、日本脳卒中学会評議員、
日本脳卒中の外科学会代議員、日本頭蓋底外科学会理事
医学博士。1993年、日本医科大学医学部卒。2003年、旭川赤十字病院脳神経外科医務嘱託。04年、米国ワシントン大学客員研究員、17年、日本医科大学脳神経外科准教授を経て23年より現職。
日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、
日本脳神経外科学会代議員、日本脳卒中学会評議員、
日本脳卒中の外科学会代議員、日本頭蓋底外科学会理事
未破裂脳動脈瘤に対する治療は、長らくカテーテル手術が最新の術式とされてきた。しかし2019年より外視鏡手術という新たな術式に取り組み、再発の不安のない治療の提供を目指す日本医科大学大学院村井保夫教授にお話を伺った。
手術適応か否かの正しい診断には
医師の知識と経験が求められる
医師の知識と経験が求められる
血流による負荷がかかって血管の壁が弱くなり、その部分が膨らむことで形成される脳動脈瘤。破裂前は自覚症状がない場合がほとんどだが、破裂してくも膜下出血などを起こせば、死亡や重篤な後遺障害を招く危険性が高い厄介な存在だ。日本人の脳動脈瘤は他の民族と比較して、破裂する確率が高いことが立証されていると、脳動脈瘤やもやもや病の遺伝子研究者でもある村井教授は指摘する。
「未破裂脳動脈瘤の破裂予防に手術が有効なケースが少なくありません。一般的に動脈瘤の大きさは手術の適応判断基準の一つでしかなく、脳のどこの場所にあるか、経年変化により、形などはMRI画像でも判断が難しい部分もあり、正しい手術適応判断には医師の知識と経験が求められます」
「未破裂脳動脈瘤の破裂予防に手術が有効なケースが少なくありません。一般的に動脈瘤の大きさは手術の適応判断基準の一つでしかなく、脳のどこの場所にあるか、経年変化により、形などはMRI画像でも判断が難しい部分もあり、正しい手術適応判断には医師の知識と経験が求められます」
未破裂脳動脈瘤に対する
新たなアプローチ「外視鏡手術」
新たなアプローチ「外視鏡手術」
手術による処置が必要と診断された場合、現在は主に開頭手術(脳動脈瘤頚部クリッピング)とカテーテル手術(脳動脈瘤コイル塞栓術)の2つの選択肢がある。病変により治療法は選択されるが、脳動脈瘤の最新治療と言えるのは、外視鏡手術ではないかと村井教授は述べた。
「カテーテル手術の登場からすでに30年以上です。私は脳動脈瘤治療の最新治療と言えるのは、外視鏡手術だと考えています」
国内開発の手術機器を用いた外視鏡手術は開頭手術に属するもので、患部を4K3D画像で大型モニターに映しながら手術を進める。そのため病変を拡大し広角に観察可能で、手術安全性の向上、さらには患部や手術の様子をモニターで共有できることから教育的効果も高いという。村井教授が先駆的に外視鏡手術によるクリッピング手術やもやもや病へのバイパス手術を始めたのが2017年からだ。
「2023年改定の脳卒中治療ガイドラインでも、カテーテル手術で再発や不完全治療後の経過観察を推奨する事が明記されています。これは未破裂脳動脈瘤の開頭手術とカテーテル治療では、再治療リスクが異なる可能性を示しています」
外視鏡手術に限らず、開頭手術といっても傷口部分だけの剃髪なので退院後「本当に開頭したの?」と家族や友人から言われる患者が多いという。ただし、カテーテル手術と比較するとやはり侵襲は大きいため、入院期間は9〜12日ほど必要になる。「未破裂脳動脈瘤の治療は、入院期間が数日伸びても一度の手術で、もうあなたは大丈夫ですよと言われるものを患者さまは希望します。そのためにも外視鏡手術が広まると考えています」と村井教授は語る。
「カテーテル手術の登場からすでに30年以上です。私は脳動脈瘤治療の最新治療と言えるのは、外視鏡手術だと考えています」
国内開発の手術機器を用いた外視鏡手術は開頭手術に属するもので、患部を4K3D画像で大型モニターに映しながら手術を進める。そのため病変を拡大し広角に観察可能で、手術安全性の向上、さらには患部や手術の様子をモニターで共有できることから教育的効果も高いという。村井教授が先駆的に外視鏡手術によるクリッピング手術やもやもや病へのバイパス手術を始めたのが2017年からだ。
「2023年改定の脳卒中治療ガイドラインでも、カテーテル手術で再発や不完全治療後の経過観察を推奨する事が明記されています。これは未破裂脳動脈瘤の開頭手術とカテーテル治療では、再治療リスクが異なる可能性を示しています」
外視鏡手術に限らず、開頭手術といっても傷口部分だけの剃髪なので退院後「本当に開頭したの?」と家族や友人から言われる患者が多いという。ただし、カテーテル手術と比較するとやはり侵襲は大きいため、入院期間は9〜12日ほど必要になる。「未破裂脳動脈瘤の治療は、入院期間が数日伸びても一度の手術で、もうあなたは大丈夫ですよと言われるものを患者さまは希望します。そのためにも外視鏡手術が広まると考えています」と村井教授は語る。
くも膜下出血患者の40代を超えた親族は
一度MRI検査を脳ドックで受けて欲しい
一度MRI検査を脳ドックで受けて欲しい
未破裂脳動脈瘤の手術は、悪性腫瘍の治療などと比較すると時間にゆとりがある。そこで長期的治療効果の根拠を含め、色々な医師の話を聞いて自分が納得できる治療を受けること、そして患者の家族も一度は検査を受けてほしいとアドバイスを送る。
「確率的には患者さまの親族はリスクが3〜4倍になるので、40代を超えている親族の方は、一度脳ドックなどでMRI検査を受けていただきたいですね」と村井教授は検査、治療の重要性について語ってくれた。
「確率的には患者さまの親族はリスクが3〜4倍になるので、40代を超えている親族の方は、一度脳ドックなどでMRI検査を受けていただきたいですね」と村井教授は検査、治療の重要性について語ってくれた。
※内容は2023年12月18日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください
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医療機関情報 | ||
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施設名 | 日本医科大学付属病院 | |
TEL | 03-3822-2131 | |
住所 | 東京都文京区千駄木1-1-5 | |
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