もりしま・たく
2008年、群馬大学医学部卒業。
関東労災病院、東京大学医学部附属病院、三井記念病院、さいたま赤十字病院、
都立墨東病院などを経て22年より現職。
日本整形外科学会認定整形外科専門医
東武スカイツリーライン伊勢崎線・梅島駅から徒歩約5分の場所に、2022年10月に開院した福寿会病院。保存治療から再生医療、関節置換術まで幅広い治療を提供してきた同院は、23年より『福寿会足立関節センター』を開設し、より専門性の高い治療を提供している。同センターの森島拓医師に、人工股関節置換術を中心にお話を伺った。
最小侵襲前方手術(AMIS)で
術後、満足度の高い手術を目指す
最新医療機器を完備した
クラス1000のクリーンルーム。
高度な医療技術を要する
最小侵襲前方手術(AMIS)を実施
 高齢化社会に伴い、加齢により発症のリスクが増す股関節や膝関節の痛みに悩む人は増え続けている。とくに股関節の場合、日本人女性は大腿骨の骨頭を覆う骨盤の被りが浅い「臼蓋形成不全」を有することが多く、変形性股関節症のリスクが高いと森島拓医師は指摘する。
 症状が進行すると股関節を人工関節に置き換える人工股関節置換術(THA)が必要になる。人工股関節の手術は、従来股関節の後方(お尻側)からアプローチするのが一般的であったが、近年はより侵襲が少ない前方アプローチ(DAA)が増えている。これは太ももの前側を切開し、筋肉と筋肉の間からアプローチして人工関節を挿入する術式だ。傷口が小さいだけではなく、筋肉を切らないので術後の痛みが少なく早期にリハビリに取り組める点、人工関節の脱臼が少ないなど多くのメリットがある。森島医師はその中でも特に侵襲が少ない、最小侵襲前方手術(AMIS)を手掛けている。「DAAにおける最小侵襲手術(MIS)でも、筋腱は温存できますが、筋肉と関節包などの組織同士の付着部は剥がして器具を挿入する必要があります。しかしAMISでは、組織間の結合部分さえも極力温存するため、より侵襲が少ないのが特徴です。術後に脱臼を避けるための肢位の制限が一切ないことも大きなメリットです」と森島医師は語る。
 入院期間も短縮でき、後方アプローチの場合平均約3~4週間であるのに対し、AMISでは早い人なら1週間程度で退院が可能となる。この術式は、特殊な牽引台を用いて股関節を安定的に動かしながら手術を進める必要があり、さらに医師にはライセンスの取得が求められることから、まだ手掛けている医療機関は少ないという。
多角的疼痛管理で
術中から痛みをコントロール
 森島医師が「術後患者さまの記憶に最も残るのは痛み」と語るように、同院では、手術に伴う痛みのコントロールについても積極的に取り組んでいる。多角的疼痛管理(マルチモーダルペインコントロール)を導入し、術中に痛みをコントロールするための神経ブロックやカクテル注射などを行い、術後も複数の薬剤を組み合わせることで痛みを軽減させている。森島医師は「痛みを軽減すれば患者さまの身体的負担を軽くするだけではなく、早期にリハビリに取り組めるメリットもある」と、疼痛管理の大切さを強調する。
早期受診で多様な治療の選択が可能に
 前方アプローチの課題としては、傷口が前側にあるため目につきやすいこと。横方向に切開する(ビキニ皮切)ことで、傷口は綺麗に治り、しわや下着に隠れて目立たなくなる。今後、術式を高度に発展させて、より満足度の高い治療を目指していきたいと語る森島医師だが、その一方で早期受診の重要性も訴える。「受診する頃には手術しか治療の選択肢がない患者さまが、本当に多いですね。早期に受診すれば一般的な保存治療のほか再生医療など選択肢が広がります。関節痛を感じたらご自身の状態を知るためにも早めに受診してほしいですね」と、アドバイスを送ってくれた。

 
 
 

※内容は2023年2月20日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 福寿会病院
TEL 03-5681-9055
住所 東京都足立区梅田7-18-12
公式Webサイト

 

診療時間
9:00〜12:00
14:00〜17:00
夕診 17:00〜19:00
(内科・小児科のみ)


【休診日】土午後、日、祝、年末年始