なかむら・しげる
1985年、東邦大学医学部卒業。91年、米国カリフォルニア大学アーバインメディカルセンター。93年、イタリアColumbus Cardiology Center。94年、東邦大学医学部附属大橋病院第三内科助手。96年、富士重工業健康保険組合総合太田記念病院循環器科医長。98年、同部長。99年、京都桂病院心臓血管センター内科副部長。2001年、同部長。03年、心臓血管センター所長。04年より現職。
日本循環器学会認定循環器専門医
24時間365日、救急対応を行うなど地域住民の命と健康を守っている京都桂病院。心臓血管疾患に対するカテーテル治療が当たり前になった現在、様々なデバイスを駆使し、患者一人ひとりの症状に合った高度なカテーテル治療を行っている中村茂副院長に詳しく話を伺った。
ステントを使用しない
より低侵襲なカテーテル治療
最新の医療機器を完備したオペ室
専門医による高度な心臓カテーテル治療を実施
 現在、狭心症や心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症のカテーテル治療において主流となっているのが、血管に金属製のステントを留置するステント留置術だ。ステントに塗布された薬剤が溶け出して再狭窄を防ぐ仕組みになっており、医師の技量による結果の差が出にくく、再狭窄がほとんど起こらないという。
 「近年、ステントを使用しないDCB(薬剤コーティングバルーン)による治療が注目されています。血管拡張後、カテーテルごとバルーンを抜き取るため薬剤だけが残り、血管の狭窄を長期にわたって防ぐことが期待できます。治療後も抗血小板剤の服用が約3カ月間に短縮されます」と中村副院長は語る。しかし、事前にロータブレーターやダイアモンドバックなどで、入念にプラーク切除・石灰切削(血管形成術)を行うなど手間と時間を要するため、DCBに対応する病院・医師は限られている。1990年代の急速なステント留置術の普及により、バルーン治療の経験豊富な医師が少ないという背景も影響しているという。
患者の不安に全力で応える
高度なカテーテル治療
 ではDCBは万能なのか?「太い血管の動脈硬化、完全閉塞、急性心筋梗塞などの場合は、ステント留置術の方が適しています。重要なのは、複数のカテーテル治療を適切に使い分けることです」と中村副院長は指摘する。更に、カテーテル治療全体の約7割をDCBで対応し〝将来的な可能性を残す治療〟と表現する中村副院長。
 「カテーテル治療は、この10年、20年で目覚ましい発展を遂げています。今後新治療が登場した時、ステントを入れない方が適応できる可能性が高くなります」実際に、薬剤溶出性ステントが登場したのは2004年のことで、これにより再狭窄のリスクが劇的に減少した。OCTやOFDIといった血管内画像診断スシテムの開発により、血管形成術をより詳細に理解できるようになり、DCBで終われるかの判断に大きく貢献している。
 「〝医師の先生は患者さま〟です。不安を抱えながらも医師を信じ、任せてくださいます。私たちはそのことを肝に銘じ、全力で応えていかなければなりません。当センターでは、薬物療法やバイパス手術等にも対応しておりますので、安心してご相談ください」と中村副院長は、最後に優しく呼びかけてくれた。

 
 
 

※内容は2024年9月10日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 京都桂病院
院長 若園 吉裕
TEL 075-391-5811
住所 京都府京都市西京区山田平尾町17
公式Webサイト

 

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