さかき・けんじろう
2008年、順天堂大学医学部卒業。
23年4月より現職。
医学博士
日本外科学会認定外科専門医、
3学会構成心臓血管外科専門医
2005年に設立された湘南厚木病院。神奈川県厚木市の地域医療を支え続け、23年4月高度な心臓手術にも対応可能な心臓血管外科の体制を構築した。今回、同院で実施している心臓血管外科医療について、副院長・心臓血管外科部長の榊健司朗医師に話を伺った。
1年半で市外からも
患者が多く訪れる医療機関に成長
精密な手技が可能にする
高度な低侵襲心臓手術
 湘南厚木病院がある厚木市は、約22万人もの市民を抱える中で、唯一の心臓血管外科手術対応可能な施設である。
 「当院は、市内で身近に心臓血管外科手術が受けられるよう、2023年4月より専門医2名体制で、様々な心血管疾患に対応可能な施設となりました。現在では近隣の医療機関から多くの患者さまをご紹介いただけるようになり、最近では市外からの患者さまも増えています」と、榊副院長は同院の現状を語る。
徹底して低侵襲の手術にこだわり
患者負担を軽減
 現在同院では、虚血性心疾患、心臓弁膜症、大動脈疾患、末梢血管疾患、透析関連手術などにも対応しているが、手術において特徴的な点は、患者負担の少ない、低侵襲の術式にこだわっている点だ。虚血性心疾患における冠動脈狭窄に対する低侵襲治療には、開胸せずに行う冠動脈カテーテル治療があるが、適応困難症例に対しては、バイパスを作ることで狭窄した血管を迂回して心臓に血液を送り込む冠動脈バイパス手術(CABG)が必要になる。
 通常は胸骨正中切開と呼ばれる、胸の真ん中を縦に20〜25㎝ほど大きく切開する術式が多いが、同院では負担が少ない術式を実施しているという。
 「従来は肋骨の間を横に10㎝ほど小さく切開し、心臓を動かしたまま最も重要な血管1本のみにバイパス手術を行う低侵襲心拍動下冠動脈バイパス手術(MIDCAB)を行っておりましたが、近年では、複数の冠動脈に狭窄がある多枝病変に対しても、複数の血管にバイパス手術を行う低侵襲冠動脈バイパス手術(MICS CABG)を行っています。低侵襲な術式は、入院期間の短縮、傷跡が目立たないなど多くのメリットがあります。しかしながらデメリットとして、肋骨の間にある肋間神経痛による痛みの問題がありました。その問題点も近年では痛み緩和を目的に肋骨の間にカテーテルを留置し対応しています。狭心症のために低侵襲冠動脈バイパス手術を受けられた患者さまで、術後5日で退院されて1週間後には出張に行かれた方もいらっしゃいました」と、榊副院長は低侵襲手術のメリットを強調する。最近は心臓弁膜症に対する弁置換や弁形成の手術も増えており、専用の胸腔鏡や器具を導入し、右側胸部を10㎝程度切開して行う低侵襲心臓手術(MICS)で対応しているという。
“異常なし”を確認するためだけでも
検査を受けてほしい
 専門医の立場から、榊副院長は、手術まで至らないよう、気になる症状があったら早期に受診してほしいと呼びかける。
 「ほとんどの心臓疾患や血管疾患は、自然治癒は望めません。気になる症状があればまずは検査を受けていただき、結果異常がなければ安心ですし、疾患が発見された場合には適切な治療を受けていただきたいですね。検査から手術までワンストップで対応が可能で、患者さまの負担が少ない医療を提供できる機関として、今後も地域医療を支えていきたいと考えています」と、榊副院長は最後に笑顔で抱負を語ってくれた。

 
 
 

※内容は2024年12月16日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 湘南厚木病院
TEL 046-223-3636(代表)
住所 神奈川県厚木市温水118-1
公式Webサイト

 

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