こいずみ・きよし
1996年、山形大学医学部卒業。99年、慶應義塾大学
心臓外科。2005年、済生会宇都宮病院。
08年、済生会横浜市東部病院。15年、足利赤十字病院
心臓血管外科部長を経て21年より現職。
慶應義塾大学医学部客員准教授
3学会構成心臓血管外科専門医
日本外科学会認定外科専門医
日本胸部外科学会評議員
多様化する患者の様々な症状に対応するため、2017年に心臓血管外科と循環器内科を統合し、心臓血管病センターを設立した足利赤十字病院。患者に負担の少ない、高度な心臓血管治療を提供するチーム医療を確立させた古泉潔センター部長に、同センターの取り組みについて話を伺った。
患者中心の医療を重視し
心臓血管病センターを設立
 40年以上にわたり、心臓血管疾患の治療に取り組んできた足利赤十字病院。心臓血管外科と循環器内科を統合した心臓血管病センターを設立し、更なる治療の強化を図っている。
 「当院では、患者さま一人ひとりに対し、多様化する症状に対応するため、総合的な観点からチームで治療にあたっています」と語る古泉潔センター部長。さらに、現場の若手医師たちにも話を聞いた。
 「診療科の垣根のない医療で、患者さまの症状に合せて、より良い治療の選択肢を提供しています」と語る金山医師に続き「患者さまのニーズに応じた治療を提供するために、心臓血管病センターの役割は大きいと感じています」と池端医師は語る。
身体への負担が少ない
治療の選択肢を増やす
地域医療を支える心臓血管病センターの医師達
右から橋本医師、金山医師、古泉医師、池端医師
 現在、同院で積極的に取り組んでいるのが、低侵襲心臓外科手術(MICS)だ。従来多くの心臓手術で、約25〜30㎝切開する胸骨正中切開術が用いられてきたが、MICSは胸から脇腹あたりを3〜7㎝程度切開し、胸骨を切開することなく肋骨の隙間から手術を行うことができる。
 「現在、適応が合えば大動脈弁置換、僧帽弁の形成や置換、冠動脈バイパス術、そして最近では心原性脳塞栓症予防のために行う、左心耳閉鎖術にもMICSの適応を広げています。術後の痛みが少なく早期に離床でき、感染症リスクが少ないのも利点です。胸骨正中切開の手術後は運転や上半身を使う肉体労働、ゴルフなどのスポーツは約2カ月程度控えなければなりませんが、MICSではそうした運動制限もありません」と古泉センター部長は語る。
 さらに、従来の心停止下で人工心肺装置を用いる冠動脈バイパス術についても、人工心肺を使用しないオフポンプ冠動脈バイパス術を行うことで、リスクの軽減にも努めているという。
 「MICSにも、手術時間が従来の術式より長いといったデメリットがあります。MICSやオフポンプで手術を行うことが重要ではなく、カテーテル手術を含め、身体へ負担の少ない治療の選択肢をより多く提示できることが大切だと考えています」と、古泉センター部長は医療に向き合う基本姿勢を強調する。
手術は最終手段
重症化する前に早期発見を
心臓血管病センター『ハートチーム』による
患者一人ひとりにより適切な治療を提供
 同院が建つ両毛地域は、高齢者が多いという土地柄もあり、かなり重症化してから来院する患者が多いという。「心臓疾患は、自然治癒は望めません。しかし高齢の方は痛みや辛さを我慢し続けている方が多くいます」と若手の橋本医師は現場状況を語る。
 「まず、早期発見することが大事ですので、健康診断をしっかり受けて欲しいですね」と優しい笑顔で語る古泉センター部長に続けて「手術はあくまで最終手段。治療法や時期について、とことん話し合いますので、怖がらずに受診してほしいです」と語る若手医師達の力強い言葉から、チームワークの良さを感じた。

 
 
 

※内容は2024年12月16日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 足利赤十字病院
院長 室久 俊光
TEL 0284-21-0121(代表)
住所 栃木県足利市五十部町284-1
公式Webサイト

 

受付時間
8:45〜11:30(初診の場合)


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