いらはら・たかゆき
医学博士
日本専門医機構認定 救急科専門医
日本外科学会認定 外科専門医
長年、「断らない救急」で市民の命を守り続けてきた愛知県の春日井市民病院救命救急センター。今回、重症外傷を専門とする苛原隆之救命救急センター主任部長に、現在の取り組みや目指すべき救急医療について話を伺った。
救命救急センターとして
地域医療を支える
チーム医療で地域の命を守る救命救急センター
 愛知県の北西部に位置し、人口30万人以上を抱える春日井市を中心に、年間約1万件もの救急搬送を受け入れるなど、長年市民の命を守り続けてきた春日井市民病院。「断らない救急」で、循環器を中心とした救急医療に尽力し続け、2015年、3次救急を担う救命救急センターに指定。2026年4月、近年増加している外傷における重症患者の受け入れ体制を拡大すべく、重症外傷を専門とする苛原隆之医師を救命救急センター主任部長に迎え、救急医療の中核病院としてさらなる強化を図った。
 「救急の現場では、一刻を争うため迅速かつ的確な対応が求められます。当院は、上級医の指導のもと、1・2年次研修医が現場を支え、さらに経験豊富な看護師や検査部、放射線技師、薬剤師など他部門と連携を密に、様々な症例に対応できるシステムを整えています」と苛原主任部長は語る。高度なチーム医療を実践している同院では、救急応需率年間平均96・2%。高い臨床能力と判断力を身につけられる実践経験を求め、研修を希望する医学生や若手医師も多いという。
迅速・的確な判断が重要となる
過酷な救急医療
救命の現場で連携し患者を支える救急スタッフたち
 同院のもうひとつの特徴が、重症度にかかわらず幅広い症例を受け入れている点だ。これまでネパール地震やトルコ・シリア地震の国際緊急援助活動に加わり、過酷な災害現場における救急医療にも力を注いできた苛原主任部長を中心に、現場の医師達が瞬時に症状を見極め適切な処置を実践しているという。
 「特に優先すべきはABCD(気道・呼吸・循環・意識)の的確な評価と蘇生です。必要に応じて救急室での止血処置や輸血なども行います。先日、労働災害で顎の骨折の疑いがある重症外傷の方が搬送されてきました。搬送時意識もあり血圧も安定していましたが、出血による気道閉塞のリスクが高く、現場の医師が迅速な気道確保と人工呼吸管理を行った上で精密検査、大学病院と連携し専門治療へと繋げ一命を取り留めました」
五感を大切にした診察で
患者の急変や疾患の見落しを防ぐ
救命救急を支える多職種スタッフの連携力
 「診断を検査の数値や画像だけに依存するのではなく、五感を用いた診察がとても大切です。患者さんの訴え、触診、顔色や発汗、呼吸状態などを的確に捉えることが救命の現場では患者さんの急変の見逃しを防ぎます」と苛原主任部長。救急搬送される患者には軽症に見える症状の中に重篤な症状が潜んでいることもあるため、どんな症状でも軽視できないという。
 「いつもと違うひどい頭痛や胸の痛みといった危険なサインを感じた際には、ためらわずに救急車を呼んでください。現場で症状に応じた初期治療を判断します。今後もより多くの命を救うため、断らない救急の精神と実績を継承しつつ、さらに人材育成の強化を図っていきます」と苛原主任部長は最後に力強く語ってくれた。

 
 
 

※内容は2026年7月29日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 春日井市民病院
TEL 0568-57-0057
住所 愛知県春日井市鷹来町1-1-1
公式Webサイト

 

受付時間
8:30〜11:30


【休診日】土、日、祝、年末年始(12/29〜1/3)