「良医の視点」を皆さまの熱いご要望によりweb公開決定!(2017.4月〜現在まで・公開中)週刊新潮にて掲載

ささざき・よしひろ
1989年、慶應義塾大学医学部卒業。同年、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局、99年、防衛医科大学校病院整形外科を経て、2006年1月より現職。
日本整形外科学会認定整形外科専門医
人生100年時代、いつまでもアクティブに生活を楽しむための要になるのが膝の健康だ。今回は変形性膝関節症の治療において、患者負担の少ない「人工膝関節単顆置換術」で実績のある村山医療センターの笹崎義弘人工関節センター長に、同手術の内容や人工膝関節全置換術との違いについてお話を伺った。
関節の一部だけを人工関節に置き換える
「人工膝関節単顆置換術」
高度な医療技術で関節治療を行う専門医
左から大崎医師、笹崎医師、吉原医師、清水医師、澤近医師
 1941年陸軍病院として誕生して以来、日本の『骨・運動器疾患』における中核病院として、長年にわたり地域医療に貢献してきた村山医療センター。脊椎、関節、手の外傷や神経障害の3つの治療センターを立ち上げ、質の高い医療提供を実現している。高齢者に多い変形性膝関節症など、関節疾患の専門治療を担う中心人物が笹崎人工関節センター長だ。
 変形性膝関節症とは、膝の軟骨がすり減ることで膝の痛みや、O脚など変形をもたらす病気である。同院では、保存治療で痛みや歩行障害が改善せず、レントゲン写真で関節の状態が悪い場合、人工関節置換術を勧めているという。「手術には、膝関節の全てを置換するTKA(人工膝関節全置換術)と、一部を置換するUKA(人工膝関節単顆置換術)がありますが、病状に合わせてより適した手術を行っています」と笹崎医師は語る。
 膝関節は内側と外側の2つの荷重面に分かれ、内側に荷重がかかりやすい。そのため、初期の変形性膝関節症の症状は膝の内側に出る傾向にある。UKAは痛みが出ている内側の関節面の一部だけを人工関節に置換するため、侵襲が少ない手術法だ。
 「UKAは、TKAよりインプラントが小さいため手術創が小さく、人工関節を設置する際に削る骨の量が少なくて済みます。そのため術後の痛みが少なく、可動域の回復も早く、入院期間も1週間程度とTKAと比較して短く、患者さまの負担が少ないことが特徴です。さらに、4本の靭帯を全て残すため、術後、歩行や階段を上る際に自然に膝を動かせると喜ばれています」と笹崎医師は語る。
UKAの成功には
厳格な手術適応の遵守が必須
 メリットの多いUKAだが、安易な手術適応は危険だと笹崎医師は警鐘を鳴らす。「UKAの適応疾患は、初期から中期の内側型変形性膝関節症や大腿骨内側顆骨壊死に限定されており、さらに厳しい適応条件があります。痛みとレントゲン上の変形性変化が膝の内側だけに限定していること、4本の靭帯全てが健常であること、脚の湾曲(O脚)が進行していないこと、そして骨質が良好に保たれていることが、必須条件です」
病状が初期の段階であればあるほど
治療の選択肢は多い
 「膝の痛みの原因や病状の進行の具合は、お話を伺い、診察し、レントゲンなどの検査をしなければわかりません。より負担の少ない治療法を選択できるよう、気になる症状があれば早めに診察を受けていただきたいです」と優しい笑顔で語ってくれた。

 
 
 

※内容は2022年11月24日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 村山医療センター
TEL 042-561-1221(代表)
住所 東京都武蔵村山市学園2-37-1
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