てらもと・けんいちろう
1991年、宮崎大学整形外科入局。同年宮崎市郡医師会病院。
92年、上天草総合病院。93年、熊本市民病院。94年、熊本機能病院。
2024年より現職。
日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本手外科学会代議員
1981年に開院以来、身体の機能回復を目指すというコンセプトを掲げ地域医療に尽力してきた熊本機能病院。特に、整形外科を中心とした専門性の高い医療を提供するべく、熟練した医師達が様々な疾患に対応している。今回、手外科を専門としている寺本憲市郎院長に、同院が実施する専門的な治療の特徴などについて話を伺った。
各部位に精通した医師が在籍し
専門性の高い医療を提供
繊細な手技で手外科治療を実施する寺本院長
 熊本機能病院では、24時間体制で救急医療からリハビリテーション、在宅医療に至るまで一貫したサポート体制を整えている。特に整形外科においては、近隣住民のみならず、九州・沖縄など他県からも患者が訪れているという。中でも注目すべき点が、手の外科、肩関節などの上肢、股関節、膝関節、足の外科などの下肢、頸椎、脊椎・脊髄疾患など各特定の部位ごとに専門性の高い医師が存在することだ。診療では痛みの原因となっている疾患を突き止め、疾患部位に合わせてそれぞれ専門の医師が治療にあたる。さらに、日常生活動作の向上を目指し、リハビリまでを含めた総合的な医療を提供している。
迅速で正確な診断を目指し
内視鏡を用いた低侵襲な手術を実現
 近年、同院では手の感覚や動きにかかわる正中神経が通る手首のトンネルが狭まることで神経が圧迫され、指先にしびれや痛みを感じる手根管症候群などの症例が多いという。寺本院長は、一般的な診断方法に加え、電気を用いて手根管を挟んだ正中神経の伝導速度の測定などの全てを初診で実施し、早期治療・早期回復を図っている。また、保存療法では対処が難しい重症例については、直視下手根管開放術と鏡視下手根管開放術という2つの手術方法を行っているという。
 「直視下手術の場合、小皮切法で手のひらの一部を3㎝ほど切開し、靱帯を切離します。鏡視下手術は手のひらと手首の2か所を切開し、内視鏡を用いた低侵襲の手術で、傷は切開部に1㎝程度しかつきません」と寺本院長は語る。
 いずれの手術も、基本的には局所麻酔の日帰り手術だ。患者の状態にもよるが、短時間での手術が可能なため、殆どの症例において傷の痛みも少なく短期間での症状改善を図っているという。
神経の再生を補助する
人工神経による治療にも対応
 現在同院で取り組んでいる先端医療のひとつに、人工神経がある。手の末梢神経が断裂した場合、手指の感覚や運動に障害が生じる。そこで欠損が生じた部分に人工神経を移植して欠損部から正常な神経へ橋渡しを行い、神経が伸びるのを誘導して再生を助けるというものだ。
 「神経損傷が生じた場合、自然回復が難しいことがあり、特に長い神経の欠損がある時は適切に再生されない為、人工神経を用いて神経の再生を促す手術を行います。将来的には断裂で生じた欠損だけではなく、圧迫除去だけでは回復しない重度の絞扼性神経障害などの症状にも有効な治療法となるかもしれません」と、寺本院長は人工神経に対する取り組みの重要性を強調する。
患者の心の声を受け止めることが
症状の緩和につながる
 寺本院長が普段の診療で大切にしているのは、患者の訴えを真摯に受け止めることだという。
 「体の痛みを訴える患者さんは、整形外科の疾患だけではなく他の病気が隠れている事があります。特に神経のダメージが長期間に及べば手術を行っても回復が困難な場合もあります。気になる症状があれば、まずは相談に行く程度の気軽さで、できれば専門医のいる医療機関を受診して欲しいですね」と、最後に優しい笑顔でアドバイスを送ってくれた。

 
 
 

※内容は2024年12月16日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 熊本機能病院
TEL 096-345-8111
住所 熊本県熊本市北区山室6-8-1
公式Webサイト

 

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