「良医の視点」を皆さまの熱いご要望によりweb公開決定!(2017.4月〜現在まで・公開中)週刊新潮にて掲載

ふじおか・ひろし
博士。東京大学大学院修了。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。2008年、米国脳神経外科学会および米国脳神経外科コングレスNeurosurgery Resident Award受賞、2018年、日本定位・機能神経外科学会優秀演題賞選出など受賞多数
人生を「より良く生きる」にはどうしたらいいかを一緒に考え
九州~山口地区におけるDBS拠点として高度治療に取り組む
経験豊富な脳神経外科専門医が高度技術による的確な手術を行う
手術は2回に分けて行い、1回目に電極を留置して症状が軽減するかをみた上で、2回目の手術でIPG(電気刺激装置)を埋め込む。「胸の場合、特に女性の方などは整容性の問題があるので、当センターでは傷口が目立たないような縫い方を用いてIPGを腰のところに埋め込む手術を行っています」と藤岡医師は手術の整容性と低侵襲性について語る
 国立病院機構関門医療センターは、2017年4月よりDBS(脳深部刺激療法)を立ち上げ、九州〜山口地区におけるDBS拠点としてパーキンソン病や不随意運動の加療に取り組み、数多くの患者さんの治療を行っている。
 「DBSを含めた機能的脳神経外科治療は、多くの脳神経外科治療が対象とする血管ではなく、神経そのものをターゲットにして神経機能の改善を図る高度な技術が要求される治療分野です」と藤岡裕士脳神経外科医師はいう。
 同センターのDBSの手術の特徴は、脳波分野で経験豊富な脳神経外科専門医の高度技術を生かし、術中に神経活動を計測して、より正確な脳内刺激ターゲットを同定していることである。
 パーキンソン病を対象としたDBSでは、刺激する脳のターゲットが視床下核(STN)と淡蒼球内節(GPi)の2つに分かれる。「STN─DBSは、パーキンソン病の薬物を平均で半分ほどに減らす効果が期待できます。ただ、STNの場合、ターゲットがトウモロコシの1粒くらいの神経核であるため、的確な位置に電極を当てていかなければなりません。少しでもずれると、場合によっては精神症状を引き起こすこともあります」と藤岡医師。脳内には機能維持のために重要な役割を果たしている血管などがあり、それらを避けながらアプローチしていくため難易度の高い手術となる。
 GPi─DBSは、ジスキネジアという症状が強いパーキンソン病のほか、ジストニアというタイプの不随意運動に効果的であるという。また振戦に対してはVim─DBSを行うことで顕著な改善効果が得られる。
主治医とリハビリスタッフとが綿密に連携しDBSの刺激調整を行う
STN-DBS術中にSTNに電極を刺入しているところ。非常に精度の高い技術が要求される
 国立病院機構関門医療センターでは、主治医とリハビリスタッフとが綿密に連携してDBSの刺激調整を行っていることも特徴として挙げられる。入院後10日間程度は術前のリハビリや手術用検査にあて、手術後も時間をかけて入念に調整を行うなどを徹底している。
 同センターでDBSを受ける患者さんは、福岡県が最も多く、次いで地元の山口県となっており、機能的脳神経外科分野を含めると広島県や島根県などからも来院する。
 「パーキンソン病の将来的な治療法としてiPS細胞移植が注目されていますが、臨床に根付くまでかなりの年数がかかると思われます。DBSの手術を受けた後にiPS細胞移植を行うことは問題なく可能です」と藤岡医師。さらに、「パーキンソン病や不随意運動で悩んでいる患者さんの中にはあきらめている方もいらっしゃいますが、当センターに相談だけでも来ていただければと思っています。中には20年以上も診断がつかなかった不随意運動がDBS術後に改善した例もあります。かけがえのない人生を『より良く生きる』にはどうしたらいいかを一緒に考えていきましょう」と患者さんへのメッセージを述べた。

※内容は2018年6月21日時点のものです。詳しくは医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 関門医療センター
フリガナ カンモンイリョウセンター
TEL 083-241-1199
住所 山口県下関市長府外浦町1-1
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