「良医の視点」を皆さまの熱いご要望によりweb公開決定!(2017.4月〜現在まで・公開中)週刊新潮にて掲載

ふくい・みき ※写真左
2003年、埼玉医科大学医学部卒業。埼玉医科大学病院内科、埼玉医科大学病院神経内科を経て、2010年、武蔵村山病院勤務。2015年、武蔵村山病院認知症疾患医療センター長。日本神経学会認定神経内科専門医


さかまき・めぐみ ※写真右
認知症看護認定看護師
院内デイや多職種回診で早期退院を目指し
認知症の地域医療・ケアを推進し
認知症の方が暮らしやすい地域づくりを支援する
「院内デイつむぎ」を開設認知症の方の早期退院を目指す
 「当院は、ご高齢の方の入院が多く、認知症の方も多数いらっしゃいます。認知症の方は、入院によってしばしばせん妄や様々な精神的な症状(BPSD)を起こし、治療の妨げになることがあります。認知症の方であっても病気をしっかり治してご自宅に帰っていただくことを目標とし、神経内科や精神科の医師、看護師、セラピストなど多職種で回診(BPSD回診)し、せん妄や興奮の予防や対策を行っています。また、当院で力を入れ、成果を上げているのが院内デイです」と武蔵村山病院の福井海樹認知症疾患医療センター長は話す。
 「当院では、入院されている認知症の患者さんにレクリエーションなどを楽しんでもらい、寝たきりを防ぎ、早期退院を目指しています。デイサービスを院内に取り入れたようなイメージです。認知症の方との絆を紡ぎたいという思いと武蔵村山の村山大島紬から、『院内デイつむぎ』という名前で活動しています」と同センターの坂牧恵専従相談員は言葉を重ねる。
 また、神経内科医、放射線科医、認知症看護認定看護師、外来看護師、臨床心理士が診断チームをつくり、各職種が支援方針を組み立てた上で、認知症の告知を行う。「患者さんや家族にとって、認知症の告知は受け入れが難しいケースもありますが、今後の人生を考える第一歩でもあり、病気や今後についての説明を十分行い、不安を軽減できるよう信頼関係づくりを大切にしています」と福井センター長。
 家族介護者の支援も重視しており、2017年1月から家族会「Ohana」を結成した。「認知症の方たちのレクリエーションを行いながら、隣の部屋で家族が集まって情報交換をしています。2018年3月には、認知症の方ご本人の声を聞く会を開きました」と坂牧専従相談員はいう。
講演や独自の情報誌などで認知症予防の普及、啓発活動を行う
「オレンジカフェふくろう」は認知症ケアのための知恵袋と福老をイメージしてネーミングされ、隔月土曜日に開催している
 同院では、院内で「オレンジカフェふくろう」を立ち上げるとともに、認知症のお役立ち情報誌「わすれもの」を発行している。「たとえば秋季号では、認知症予防に良い季節の食べ物や運動などを取り上げる予定です。認知症のことをもっと身近に知っていただき、認知症を予防していくこともセンターの役割だと思っています」と福井センター長は指摘する。
 その一環として、市民講座や認知症サポーター養成講座などを開催し、認知症を正しく理解してもらうよう、行政と協働している。「認知症を学ぶことは生涯教育として重要です。今後は、行政と協働し小中高生を対象とした講座も行っていきます」と坂牧専従相談員。
 「市や地域包括支援センターと密な連携を取りながら、一丸となって認知症の施策に取り組んでいます。認知症の方も暮らしやすい地域づくりを支援することが当センターの最終的な目標です。病院で患者さんを待つ、のではなく、一歩踏み込んだ活動で、認知症の方やご家族を支える地域づくりを支援していきたいと思っています」と福井センター長は地域医療・ケアへの貢献について語った。行政との協働で認知症が疑われる方を自宅訪問し支援に結びつける、認知症初期集中支援チームも結成・始動し、地域医療でのさらなる活躍が期待される。

※内容は2018年8月2日時点のものです。詳しくは医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 武蔵村山病院
フリガナ ムサシムラヤマビョウイン
TEL 042-566-3111(代表)
042-566-3312【もの忘れ電話相談窓口】
(日祝除く 10:00〜16:00)
住所 東京都武蔵村山市榎1-1-5
ホームページはこちらから(別ウインドウが開きます)

【休診日】日、祝