「良医の視点」を皆さまの熱いご要望によりweb公開決定!(2017.4月〜現在まで・公開中)週刊新潮にて掲載

きぬがさ・きよと
1986年高知医科大学卒業。岡山労災病院、香川県立中央病院、呉共済病院を経て、92年近森病院に勤務。2008年より現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医
超高齢化社会の中で感じ取った
APS療法の必要性
 24時間365日の救急受付に象徴される急性期医療を柱とし、リハビリテーションを経た社会復帰までを地域と連携して進めているのが近森病院だ。整形外科には14名の医師が在籍し、整形外傷、関節・脊椎の慢性疾患の高度な専門治療を行う。
 超高齢化が進む高知県で、同院は慢性の膝関節痛に対する手術に力を入れてきた。人工関節置換術、骨切り術がこれにあたる。だが「手術だけは避けたい、家族の介護で入院できないと、保存療法のヒアルロン酸注射を選択する患者さまが非常に多かった」と衣笠清人統括部長は語る。特に中度・重度の場合、手術なしでの除痛は難しい現状にあった。
 その中で同院が2019年の6月から導入したAPS療法は、厳しい基準をクリアした医療機関でのみ受けられる再生医療のうちの1つだ。変形性膝関節症に対する1回の治療で除痛効果が期待でき、すでに70症例の実績をあげている。杖がいらなくなった、階段の昇り降りがこわくなくなった、運動時も痛みが出ない、という嬉しい声が届く。
正しく知り納得して治療に進むことが
最終的な満足につながる
自己血液で行うため安全性が高く身体負担も少ない

膝関節にAPSを注射で注入する
 APS療法の流れは次の通りだ。まず採取した55mlの自己血液を特殊なキットに入れ、遠心分離機にかけて6mlのPRP(多血小板血漿)を取り出す。それをさらに別のキットに移し替え、2・5mlのAPS(自己タンパク質溶液)を抽出し膝関節に注入する。局所麻酔を打つため痛みも少なく約1時間で終了し、入院もなく日帰り治療が可能だ。APSに含まれる成長因子と抗炎症性サイトカインが炎症の原因となるタンパク質の活動を阻害し、早ければ1週間程度から痛みが和らぐ。同院におけるAPS療法はすでに、これまで膝関節の痛みに悩みながらさまざまな理由で手術を受けられなかった患者の受け皿となりつつある。
 APS療法の適応は 軽度〜中度の変形性膝関節症 とされている。同院でも十分に説明するが、最終的には患者が決断することになる。特に重度の場合でも手術を回避できるAPS療法を選択する患者も多いと言う。「当科の場合は、患者さまの痛みの進行状況によって保存療法、APS療法、人工関節置換術、骨切り術などの手術と、患者さまの症状に合わせた選択肢があり、しっかりとご説明しご納得いただいたうえで治療を開始いたします。」と衣笠医師は語る。昨年2106例※の手術治療を行う同科は、選択肢一つひとつの質の高さという面からもAPS療法の相談先として大変心強い。「関節痛でお悩みの方は一度相談しに来てほしいです」と衣笠医師は最後に関節痛のスペシャリストとして力強く、やさしい笑顔で語ってくれた。

※2019年1月〜12月

 

※内容は2019年2月13日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

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医療機関情報
施設名 近森病院
フリガナ チカモリビョウイン
TEL 088-822-5231
住所 高知県高知市大川筋1-1-16
ホームページはこちらから(別ウインドウが開きます)

 

診療時間
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