なかむら・よしつぐ
日本外科学会認定外科専門医、3学会構成心臓血管外科専門医、
日本ロボット外科学会評議員、日本低侵襲心臓手術学会代議員、
日本冠疾患学会評議員、日本胸部外科学会評議員
心臓血管外科分野における低侵襲ロボット支援下手術の可能性に着目し、治療の普及に尽力している千葉西総合病院の中村喜次副院長に、同院の取り組みについて話を伺った。
チームの習熟度が重要となる
ロボット支援下手術
 心臓弁膜症における低侵襲手術には、血管内にカテーテルを通す方法と、低侵襲心臓手術(MICS)という内視鏡を用いる2つの方法がある。ロボット支援下手術は後者の術式のひとつで、従来のMICSとの違いは医師が直接アプローチするかロボットが行うかの違いだと中村副院長は指摘する。同院では、心臓手術への保険適用が開始された2018年に、ロボット支援下手術を導入。より質の高い心臓手術を提供するためには、スタッフの連携強化を図ることが極めて重要だという。
 「従来のMICSはいわゆる医師1人がメインで行うのに対し、ロボット支援下手術ではチームの総合力が問われます。400mを1人で走るより、優秀な4人がリレーで繋げばタイムが早くなる。これと同じく習熟したチームが対応すれば、より良い結果が得られる可能性が高まります。当院はMICSの扱い件数も多かったことから、ロボット支援下手術導入前にたっぷり準備期間を取れ、チームとして完成された状態から開始することができました」と、中村副院長は同院の特徴を説明する。
従来のMICSと比較し
利点の多いロボット支援下手術
熟練した心臓血管外科医による
ロボット支援下手術
 MICSの利点は、やはり切開創の小ささだ。従来の胸骨正中切開の場合、胸骨を縦に切るため胸に約15〜20㎝の傷跡が残るほか、術後に運転や運動に一定期間制限が設けられていた。MICSの場合は、胸骨を切らずに肋骨の間からアプローチするため、回復が早く、傷跡が目立たず術後運動制限もない。
 「従来のMICSとロボット支援下手術を比較した場合、MICSでは器具の挿入部からアプローチ部位が離れるほどブレ幅がでやすいのに対し、ロボット支援下手術ではそうした心配がなく、狭い心臓内でも自由度の高い正確な施術が行えます」と、中村副院長は指摘する。現在、同院では弁形成についてはほとんどのケースでロボット支援下手術を適用。弁置換術については適応症例を限定しているが、今後の適応症例拡大を考慮し3台目のロボットを導入する予定だという。
総合病院としての強みを活かし
心臓手術の更なる発展を目指す
 現在ロボット支援下心臓手術を多く実施している施設の殆どが、循環器専門病院だと中村副院長は語る。そのため総合病院である同院には、糖尿病など他の疾患があるといった理由で、こうした病院からの紹介患者も少なくないという。
 「開胸手術のイメージが強く、受診を躊躇される方がいらっしゃるかもしれませんが、少しでも心臓に不安な症状がある方は、早期に受診していただきたいですね」と、中村副院長は優しい笑顔でアドバイスを送ってくれた。

 
 
 

※内容は2025年2月25日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください

(PR)
医療機関情報
施設名 千葉西総合病院
TEL 047-384-8111(代表)
住所 千葉県松戸市金ケ作107-1
公式Webサイト

 

受付時間
8:00〜11:30


午後は予約のみ ※心臓血管外科の場合
【休診日】土午後、日、祝 ※救急は24時間365日対応