「良医の視点」を皆さまの熱いご要望によりweb公開決定!(2017.4月〜現在まで・公開中)週刊新潮にて掲載
福島県郡山市にある総合南東北病院、隣接する南東北がん陽子線治療センターでは、がん治療最後の砦として化学療法や手術療法と陽子線治療を組み合わせた集学的治療に取り組んでいる。今回は村上昌雄センター長に同センターの特徴などを含め、陽子線治療の現状について詳しくお話を伺った。
がんを切らずに
治療できる陽子線治療
治療できる陽子線治療

現在がんには、大きく分けて外科的アプローチ、化学療法、放射線という3つの治療法がある。この中で放射線治療は、手術が難しい腫瘍に対してもアプローチが可能なため、がん治療における最後の砦とも称されている。
医療現場で治療用に使用される放射線には、光子線と粒子線の2つの種類がある。光子線はX線に代表されるもので、病巣に照射した場合、病巣を突き抜けてしまう性質がある。これに対し陽子線は粒子線に属するもので、ターゲットを設定して照射するとそこで止まってエネルギーのピークを形成するブラッグピークという性質を有している。そのため陽子線を腫瘍に照射した場合、腫瘍周囲の健全な組織に与えるダメージを抑えながらも腫瘍に対して高線量を投与できるため、光子線治療ではできなかった再発例に対する再照射も可能だ。さらにエネルギーが強いため、がん細胞のDNAを2本とも切断する破壊力も有している。
「陽子線治療のメリットは、切らずに治療ができる点です。小さな腫瘍であれば切らずに手術と同等かそれ以上の治療成績を残しています。ステージ3で手術が困難と診断された症例でも、陽子線治療であれば治癒の希望があります」と、村上センター長はそのメリットを主張する。
同センターでは、腫瘍の大きさが小さい場合には入院不要で治療が受けられるという。例えばステージ1の肺がんの場合、1週間に5回、合計10回の照射で治療を終えられる場合もあるという。1回の治療時間も約15分程度と極めて短い。
医療現場で治療用に使用される放射線には、光子線と粒子線の2つの種類がある。光子線はX線に代表されるもので、病巣に照射した場合、病巣を突き抜けてしまう性質がある。これに対し陽子線は粒子線に属するもので、ターゲットを設定して照射するとそこで止まってエネルギーのピークを形成するブラッグピークという性質を有している。そのため陽子線を腫瘍に照射した場合、腫瘍周囲の健全な組織に与えるダメージを抑えながらも腫瘍に対して高線量を投与できるため、光子線治療ではできなかった再発例に対する再照射も可能だ。さらにエネルギーが強いため、がん細胞のDNAを2本とも切断する破壊力も有している。
「陽子線治療のメリットは、切らずに治療ができる点です。小さな腫瘍であれば切らずに手術と同等かそれ以上の治療成績を残しています。ステージ3で手術が困難と診断された症例でも、陽子線治療であれば治癒の希望があります」と、村上センター長はそのメリットを主張する。
同センターでは、腫瘍の大きさが小さい場合には入院不要で治療が受けられるという。例えばステージ1の肺がんの場合、1週間に5回、合計10回の照射で治療を終えられる場合もあるという。1回の治療時間も約15分程度と極めて短い。
スペーサー手術を併用して
困難な症例へ挑む
困難な症例へ挑む
同センターでは、陽子線治療との併用治療にも積極的に取り組んでいる。その代表的なものが動注化学療法で、これはがんの近くの動脈までカテーテルを入れ、腫瘍に高濃度の抗がん剤を投与する治療法だ。
「動注化学療法は特に舌がん、上顎がん、咽頭がんなどに有効なほか、進行した膀胱がんで通常は膀胱全摘出になるケースでも、動注化学療法と陽子線治療の併用療法により、膀胱温存の可能性があります。頭頸部では特に臓器を温存することで術後の患者のQOLが大きく異なるので、併用治療を行うことで臓器温存を目指すことが極めて有効だと考えています」
さらに同センターでは総合南東北病院グループであるメリットを活かし、外科とのコラボレーション治療も行っている。陽子線治療の唯一の泣き所が、消化器官に照射が行えない点だ。これは照射により潰瘍や穿孔が起きるリスクがあるためで、従来は肝臓の一部や膵臓、骨盤領域のがんに対しては、胃や十二指腸などに照射の影響があるため陽子線治療は難しいとされてきた。そこで同センターで行っているのが、「スペーサー手術」だ。これは照射対象の腫瘍と消化管との間に患者自身の脂肪(大網)や不織布型の生体吸収性スペーサーと呼ばれるいわば緩衝材を入れることで、消化器官に高線量の陽子線が当たらないようにするものだ。
「スペーサー手術により、1㎝でも間隔ができれば照射が可能になります。この治療により、切除が難しい段階の膵臓がんで、化学療法だけでは余命1年程度の症例でも、20カ月、24カ月以上と生存率を伸ばすことが期待できるようになりました」と、村上センター長。多様な治療の取り組み、さらに幅広い部位のがんを治療対象にしていることで、国内だけではなく、海外からの患者も増えているという。
「動注化学療法は特に舌がん、上顎がん、咽頭がんなどに有効なほか、進行した膀胱がんで通常は膀胱全摘出になるケースでも、動注化学療法と陽子線治療の併用療法により、膀胱温存の可能性があります。頭頸部では特に臓器を温存することで術後の患者のQOLが大きく異なるので、併用治療を行うことで臓器温存を目指すことが極めて有効だと考えています」
さらに同センターでは総合南東北病院グループであるメリットを活かし、外科とのコラボレーション治療も行っている。陽子線治療の唯一の泣き所が、消化器官に照射が行えない点だ。これは照射により潰瘍や穿孔が起きるリスクがあるためで、従来は肝臓の一部や膵臓、骨盤領域のがんに対しては、胃や十二指腸などに照射の影響があるため陽子線治療は難しいとされてきた。そこで同センターで行っているのが、「スペーサー手術」だ。これは照射対象の腫瘍と消化管との間に患者自身の脂肪(大網)や不織布型の生体吸収性スペーサーと呼ばれるいわば緩衝材を入れることで、消化器官に高線量の陽子線が当たらないようにするものだ。
「スペーサー手術により、1㎝でも間隔ができれば照射が可能になります。この治療により、切除が難しい段階の膵臓がんで、化学療法だけでは余命1年程度の症例でも、20カ月、24カ月以上と生存率を伸ばすことが期待できるようになりました」と、村上センター長。多様な治療の取り組み、さらに幅広い部位のがんを治療対象にしていることで、国内だけではなく、海外からの患者も増えているという。
あきらめないがん治療が
ここにあることを知ってほしい
ここにあることを知ってほしい
同センターではさらなる治療の充実を目指し、数年後に近隣に移転予定があり、そこでは最新の陽子線治療器の導入予定もあるという。
「私たちが目指しているのは、諦めないがん治療です。もう治療方法がないと診断されても、一度ここに足を運んでみてほしい。ここに命を守る最後の砦があるということを、一人でも多くの方に知っていただきたいですね」と、村上センター長は最後に力強く語ってくれた。
「私たちが目指しているのは、諦めないがん治療です。もう治療方法がないと診断されても、一度ここに足を運んでみてほしい。ここに命を守る最後の砦があるということを、一人でも多くの方に知っていただきたいですね」と、村上センター長は最後に力強く語ってくれた。
※内容は2025年3月19日掲載時点のものです。詳しくは各医療機関にお問い合わせください
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医療機関情報 | ||
---|---|---|
施設名 | 南東北がん陽子線治療センター | ![]() |
TEL | 024-934-3888 | |
住所 | 福島県郡山市八山田7-172 | |
公式Webサイト↗ |
受付時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
8:30〜17:00(完全予約制) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | / | / |
【休診日】日、祝、年末年始
外来診察はこちらでも可能です
医療機関情報 | ||
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施設名 | 住所 | TEL |
東京クリニック | 東京都千代田区大手町2-2-1 | 03-3516-7151 |
新百合ヶ丘総合病院 | 神奈川県川崎市麻生区古沢都古255 | 0800-800-6456 |
大阪なんばクリニック | 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 | 06-6648-8930 |
患者・家族用宿泊施設 絆ガーデン
「絆ガーデン」は、患者さんやそのご家族が利用できる宿泊施設です。
当センターと隣接しているので、遠方からの通院に不安のある患者さんや、付き添いのご家族にも安心してご利用いただけます。
自家源泉から湧出する南東北温泉が自慢です。また、1階には本格レストラン『ボンジュール』も営業しています。
施設情報 | |
---|---|
施設名 | 絆ガーデン |
TEL | 024-934-5335 |
住所 | 福島県郡山市八山田7-10(南東北BNCT 研究センター内) |
受付時間 | 月〜土 9:00〜16:30(日曜祝日、年末年始を除く) |
公式Webサイト(別ウインドウ) |
シングルルーム 1泊 素泊り 4,400円(税込)
※諸般の事情により料金が変わる場合がございます。※入院施設ではありません。
チェックイン:15:00〜20:00 チェックアウト:11:00